こんにちは。システムエンジニア経験者の税理士 石川幸恵です。
令和6年1月1日以降に電子データでやり取りした請求書や領収書はデータのまま保存しなければなりません。これは、上場企業から個人事業者まで、ほぼすべての事業者が対象です。しかも、ただ保存してあれば良い、というわけではなく、保存方法に決まりがあります。国税庁が公表している資料「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」を中心に、どんな準備をすればよいか確認してみましょう。
なお、意見の部分はすべて私見であり、後日訂正する可能性があります。
電子取引に該当するかどうか?○×クイズで確認してみましょう!
Q1 | 電子メールにより受領した請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)は電子取引に該当する? | ○ | 問4 |
Q2 | 電子データで受け取った場合に保存しなければならないのは請求書と領収書だけで、見積書はいらない? | × | 問2 |
Q3 | 電子データで受け取ったものだけを保存すればよく、送ったものはいらない? | × | 問2 |
Q4 | 電子メールの本文に取引情報を直接記載するのは電子取引に該当する? | ○ | 問4 |
Q5 | インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ、ホームページに表示される請求書や領収書等のスクリーンショットは電子取引に該当する? | ○ | 問4 |
Q6 | クレジットカードの利用明細データをダウンロードするのは電子取引ではない? | × | 問4 |
Q7 | クレジットカードの利用明細データがあれば、クレジットカードを使ったときの領収書(紙、データ含め)は必要ない? | × | 問4 |
Q8 | コンビニエンスストアで消耗品を購入し、交通系ICカードで決済した。これは電子取引だからレジで領収書やレシートをもらう必要はない? | × | |
Q9 | e-Taxで電子納税を行った場合の受信通知は電子取引データに該当する? | × | 問8 |
Q10 | インターネットバンキングを利用した振込は電子取引データに該当する? | ○ | 問9 |
Q11 | ATMを利用した振り込みは機械を使っているから電子取引に該当する? | × | 問9 |
Q12 | 従業員が会社の経費等を立て替えた場合に、支払先から領収書を電子データで受領した場合は電子取引に該当する? | ○ | 問10 |
Q13 | 締め後すぐに電子データで請求書をもらい、その後、そのデータを印刷した紙を郵送してもらっています。この場合も電子データの保存は必須? | × | 問14 |
Q14 | ○○Payにチャージをするのは電子取引? | ? | 問7? |
Q15 | コンビニで消耗品を購入し、○○Payで決済したときはスマートフォンのスクリーンショットが必要? | ? | 問7? |
解説
○以外だけ解説します。
Q2・Q3
取引に関する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類すべてです。送る方も送られる方も対象です。
Q6
クレジットカードの利用明細データをダウンロードするのは電子取引です。
Q7
クレジットカードの利用明細データは、クレジットカード会社と利用者の間の取引であって、お店で品物を買ったり、サービスを受けたりという取引とは別物です。ですから、クレジットカードの利用明細データを保存してあっても、お店からの領収書は紙であれデータであれ、必ずもらって保存する必要があります。
Q8
レジでレシートをもらうことができますから電子取引ではありません。
出典:<東京会提供研修>電子帳簿保存法~パソコン初心者が行う電子データ保存~
配信期間 令和4年年10月7日~令和7年10月6日
Q9
電子納税は納税者が日本銀行に納付する仕組みであるので、税務署が領収書を交付する立場にはなく、受信通知は領収書に該当しないので保存する必要はありません。一方で、税務署の窓口で現金納付した場合の領収証書は保存すべき書類に該当します。
Q11
ATMで振り込んだときに小さい紙が出てきますよね。その紙があるので、電子取引には該当しません。
Q13
「電子データと紙の内容が同じである場合、紙を正本としましょう」と社内で取り決めている場合は、電子データの保存は不要です。
Q14・15
正直なところ、疑問に思っています。
コンビニで品物を買った際にはレジでレシートをもらえますが、これはコンビニとの取引であり、スマホアプリの決済事業者との取引ではありません(上記Q6、7と同様)。一問一答の問7は「アプリ提供事業者から利用明細等を受領する行為は電子取引になる」とされていますが、アプリ提供事業者から利用明細としてダウンロードできるようなものはなく、決済時の利用画面程度です。果たしてこの利用画面のスクリーンショットが必要なのか?
新しいことが分かり次第、掲載します。