食品と食品以外の物のセット商品を買ったら消費税率は8%か10%か?

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

今年の10月に飲食料品と定期購読の新聞は8%、その他は10%という複数税率がスタートします。
じゃあ、おまけつきお菓子のような食品と食品以外のセット商品は?ってツッコミ、したくなりますよね。今日はその税率の決め方をご説明します。
飲食料品を扱っていない自営業の方にとってはあまり影響なさそうに感じてしまう複数税率ですが、オフィスの片隅に置いてあるウォーターサーバの水、会議用の茶菓子や弁当など軽減税率が出てきます。お中元やお歳暮の品物を買ったときにはこのセット商品、出てくるかもしれません。他人事と思わず、経理処理の心構えをしておきましょう。

ティーカップと洋菓子のセットのような商品の消費税率は何パーセント?

おまけつきお菓子、ティーカップ付洋菓子セットのような食品と食品以外の物のセット商品を「一体資産」と言います。
そういえば、母の日のプレゼントで、カーネーションと洋菓子のセットというのを見たことがあります。
ジュースとビールの詰め合わせというのも贈答品でありますよね。
ジュースは飲食料品なので、8%の軽減税率、ビールはお酒なので、10%の標準税率が適用されます。ということでこのジュースとビールの詰め合わせも一体資産という扱いになると思います。

このセット商品は消費税の税率はいくつでしょう? 全体の価格と内容の組み合わせ次第で8%の場合もあれば、10%の場合もあります。

税抜価格が10,000円以下
食品の価格の占める割合が2/3以上

という二つの条件を満たすと8%の軽減税率が適用されます。

  • ウェッジウッドのティーポットとカップのセットに紅茶とクッキーが付いた贈答品
  • 漆塗りの高級重箱入りお節料理
  • ビール10本とリンゴジュース2本、オレンジジュース2本入りの贈答用詰め合わせ

などは軽減税率の対象外となり、10%の標準税率でしょうね。

おもちゃ付きお菓子やシール入りのお菓子を仕入れて販売する場合、食品の占める割合が2/3以上かどうか、小売店では判断できませんよね。このような場合には、仕入時の税率をそのまま適用してよいそうです。仕入時に8%の税率だったら、販売時も8%としてオッケーです(消費税軽減税税率制度に関するQ&A 問96)。

クーポン券を使って値引きを受けて10,000円以下になったら?

例題

本体価格10,500円というケーキとお皿のセット。このセットはお皿はおまけでケーキが全体の価格2/3を占めているとしましょう。

税抜価格は10,000円を超えていますから、消費税10%の1,050円が上乗せされて税込11,550円になります。

では、3,000円のクーポン券を使ったとしましょう。
値引後の税抜価格が10,000円以下となるので、税率は8%の軽減税率となります。

ここで疑問。結局、税込でいくら払うことになるのでしょう? 本体と消費税はそれぞれいくらずつでしょう?


この例題は、週刊税務通信という専門紙から引用しているのですが、

10%の税率で計算した税込価格11,550円から3,000円を引いて、8,550円(うち消費税8,550円×8/108=633円)

と書いてありました。
10%の消費税を上乗せした価格から値引した結果が8%の消費税を含んだ価格になる…。本体価格がぶれたような…。
私は違和感、感じまくりなんですけど…。

そもそも値引は税込価格から引く?

値引というのは、税込価格からするものなのでしょうか?
税込価格からするものなのでしょうか?
日常的には、税込価格から値引してもらうことが多いと思います。消費者目線では、おそらく「まあ、そんなものかな?消費税分までは引いてくれないよね」と感じていると思います。

そもそも「値引は税込価格から引くこと」、というルールがあるのかな?と思って調べてみたところ、内閣府のホームページの消費税転嫁等対策「よくある相談Q5」に答えがありました。
値引は、税込価格から値引するのか税抜価格から値引するのかは事業者の判断に委ねられているそうです。事業者に対し、「消費者に疑問や誤解を与えることのないようにあらかじめ消費者に対して値引に係る取引条件に付いて明らかにしておくことが適切と考えられます」
と書いてあります。

もらった領収書を良く見て会計入力しましょう

私見ですが、上の図のように税抜価格10,500円からクーポン3,000円を引き、最後に消費税を掛けるというのもオッケーと思われます。(領収書には、税率ごとの税込価格を書かなければならないことになっています。区分記載請求書と同じね)

帳簿に記入したり、会計データとしてパソコンに入力する際、最終的に基準にすべきところは、もらった領収書。今年の10月以降は、8%の軽減税率が適用された商品なのかどうかや、税率ごとの税込価格が書いてあるはずですから、そのとおりに会計入力しましょう。

参考・図の引用:週刊税務通信 No.3539、3540

※ 正式には「価額」という言葉が使われている部分もわかりやすいように「価格」という言葉に統一してあります。