【インボイス制度の経過措置】2割特例の適用漏れ

こんにちは。税理士の石川です。消費税のインボイス制度について、小規模な事業者向けに2割特例という経過措置が用意されています。この2割特例について先日、申告の手引きが公表されました。この手引きに小さく書かれていることなのですが、少し気をつけた方が良いかな、と思われる点を取り上げてみました。

2割特例の適用を受けられることに気付かずに消費税の申告をしたのですが、申告期限が過ぎた後、2割特例で申告していれば納付税額が少なくて済んだことに気づきました。差額を返してもらう方法はありますか?

 

 

 

【回答】差額を返してもらう方法はありません。

逆も同じで、「2割特例で申告しなければ、もっと納付税額が少なくて済んだ」ということに申告期限後に気付いても、やはり差額を返してもらうことはできません。

 

【ちょっと解説】

「税額の計算が税法の規定に従っていなかったり、計算誤りがあって多く納付してしまいました」というときは、手続きによって税金を返してもらう方法があります。これを更正の請求というのですが、2割特例を適用しなかったということ自体は規定に従っていなかったわけでも計算誤りでもないので、更正の請求はできないということになります。

適用のあるなしの検討や納付税額の比較にはそれなりに時間が必要です。申告の準備は余裕をもって行いましょう。

2割特例 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き

 

【2023.9.23追記】2割特例の適用については、法律の文言で「この適用を受けようとする適格請求書発行事業者は確定申告書にその旨を付記するものとする。」とされています(平成28年改正法附則51の2③)。「○○がある場合に限り適用する」という強い言い回しではありませんが、当初申告要件と考えた方が良いのかもしれません(私見です)。