特別寄与料とは?(備忘録)

こんにちは。税理士の石川です。特別寄与について、税務通信No.3755にわかりやすく解説されていましたので、備忘録としてまとめておきます。

 

特別寄与料とは?

「特別寄与」とは遺産分割協議の場で「長男の妻が良くやってくれていたから、遺産の一部をわけてあげよう」という相談をするものではありません。特別寄与をした人が請求するもの。誰が誰にどんな金額を請求するのか?相続税はどうなるのか?という点からまとめます。

①特別寄与料を請求できるのは?

相続人以外の親族(長男の嫁とか)で、被相続人に対して、無償で介護をしたり、被相続人の財産の維持または増加について特別の貢献をした人です。

「親族」なので、内縁関係者はダメ。

 

②誰に特別寄与料を請求する?

相続人に請求します。全員に平等に請求する必要はありませんが、個別に請求できるのは、特別寄与料の額に相続分を乗じた額まで。

例えば、相続人が長男と次男である場合を考えてみましょう。長年介護を担ってくれた長男の妻が特別寄与料を請求するとします(長男の妻は一親等の姻族なので、親族)

特別寄与料が1,000万円(計算方法は③)と計算された場合に、夫である長男には請求せず、次男に1,000万円×1/2で500万円請求するということが可能です。

ちなみに、被相続人が「特別世話になったから、長男の妻に1億円を贈る」という遺言を書くのは、特別寄与ではなく遺贈です。

 

③いくら請求できる?

相続開始時の遺産の総額から遺贈(遺言でもらう人が指定されている財産のことだね)の額を差し引いた残り。

計算方法も割と具体的に決まっていて、例えば介護なら、日当額に日数を乗じて、一定の裁量割合を乗じて計算されます。

当事者の間で話し合いがつけば良いが、つかなければ家庭裁判所に調停の申し立てをすることになるので、どんな介護を行っていたかなど説明できるよう準備をする必要があります。

 

④相続税の計算

特別寄与料をもらった人は遺贈(遺言で財産をもらったということだね)により財産を取得したものとみなされて、相続税の申告が必要です。申告期限は特別寄与料の額が確定してから10か月以内。

2割加算の適用あり。

特別寄与料を払った人は、その金額を債務控除できる(相続財産から直接減らすのではない)。裁判が長引けば、相続税の申告後に特別寄与料の額が確定することもあります。その場合は、4か月以内に更正の請求をします。

特別寄与の相談相手は?

市民税務相談では、相続の相談がとても多いです。しかしながら、相続とはとても幅広いものなので、相談内容によって弁護士さんに聞くべきこと、司法書士さんに聞くべきこと、行政書士さんに聞くべきことと相談相手が違ってきます。税理士ができるのはあくまで相続税の計算と申告(全般的な知識はなるべく身につけますが)。

特別寄与料の請求や遺産分割協議の相談は弁護士さんにお願いしてくださいね。