こんにちは。税理士の石川です。
過去に掲載したコラムですが、適用が本年からとなっており、該当の方には影響が大きい内容ですので、表現を一部手直ししたうえで再掲します。
令和5年の年末調整・確定申告では、日本で働く外国人の方等の税金に影響する改正があります。海外にいるご両親などを扶養としている場合です。該当する方には影響の大きい改正だと思いますので、ご注意ください。
扶養控除とは
同じお財布で生活する親族が以下の条件を満たしていれば、所得税の扶養控除を受けることができます。
(1)6親等内の血族及び3親等内の姻族であること。
(2)その年の12月31日時点で16歳以上であること。
(3)日本国内の所得が48万円以下であること、アルバイトやパートであれば、1年間の給与総額が103万円以下であること。
(3)の所得は日本国内で得られたもののみで判定します。例えば、母国にいる両親が自ら生計を立てていくのに十分なほどの収入を現地で得ていても、日本での収入がなければ日本国内の所得は0となります。
親族が海外で生活している場合
扶養控除には、日本国内で同居していることという要件はありません。次の二つの証明書を揃えれば、海外に留学している子ども、母国で暮らす両親や祖父母・兄弟姉妹を扶養に入れることができます。
(1)親族関係書類
①海外留学などで日本国籍のある者が海外に滞在している場合
戸籍の附票の写し、国または地方公共団体が発行した書類、親族のパスポートの写し
②日本で働く外国人が母国で暮らす親族を扶養に入れる場合
外国政府などが発行した戸籍謄本や出生証明、婚姻証明書など
配偶者の両親などは証明書を組み合わせて親族であることを証明します。
(2)送金関係書類
振込の明細書です。
送金は親族一人ずつに別々で送る必要があります。お父さん宛の送金のみで「両親の生活費です」ということはできません。海外への送金手数料は1回5,000円くらいかかるので、それぞれにというのはちょっと負担かもしれません。
その国で生活するために通常必要とされる金額以上を送ること、などの制限はありませんでした(令和4年まで)。
令和5年からは?
母国で自ら生計を立てている両親などに少額の送金をして扶養控除を受けるのは公平とは言えません。そこで、令和5年から、日本国外に居住する30歳以上70歳未満の親族を扶養控除の対象とできるのは、次のいずれかに該当する場合に限られます。
(1)海外留学中である
(2)障害者である
(3)生活費や教育費として38万円以上送金している
※16歳以上30歳未満、または70歳以上の親族を扶養とする場合には送金額の制限はありません。
母国にいる70歳未満の両親や親族を扶養に入れる場合は、令和5年中の送金は38万円以上にしてください。
【参考】令和5年1月からの国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)