税務調査で調査官から受けた指摘にどうしても納得できなかったらどうするの?

こんにちは。税理士の石川です。

税務調査では、調査官が一番偉くて、指摘に従うしかない? 実はそんなことはありません。

今日は、「税務調査で調査官から受けた指摘にどうしても納得できなかったらどうするの?」について、整理しておきましょう。

 

税務調査の最終盤

税務調査で何かしら問題点が出てきたとします。調査官は、このとき、「納税者が自ら修正申告をすることをお勧め」します。強制はしません。

納税者は、「確かにそのとおりだなあ」と思えば、修正申告のお勧めに応じて修正申告書を提出します。ときどき、有名人などがテレビで「脱税ではありませんよ! 見解の相違がありましたので、修正申告しました」と言っているのはこのような状況かと思われます。

修正申告をした場合は、次に出てくる再調査や国税不服審判所への審査請求はできなくなります。ただし、「納めすぎたから返してください」という請求(これを「更正の請求」といいます)はすることができます。

とはいうものの、納得したうえで修正申告をして税金を納めるわけですからね。何でもかんでも「更正の請求」を受け付けて、「更正」してくれるのかは明らかではありません。

 

納得ができなかった場合

では、どうしても納得できなかったらどうしたらよいのでしょう? 諦めて調査官の指摘を受け入れるしかないのでしょうか?

そんなことはありません。

どうしても納得ができなければ、「修正申告のお勧め」に応じないという選択をすることになります。

修正申告書を提出しないと、税務署としては、税務署の見解に沿った「更正又は決定の通知書」というものを作成して納税者に送ります。「更正又は決定の通知書」には税務署の見解に沿った税額が載っています。「これを納めなさい」という意味です。

「再調査の請求」または「国税不服審判所に審査請求」

納税者としては納得していないのですから、「更正又は決定の通知書」をもらって、「はいはい」と納税はしないでしょう。

次にやるべきことは、税務署長(現場に来るのは調査官なんですけどね、書類の宛先や何か要求をするときの相手は税務署長となります)に対して「再調査の請求」をするか、「国税不服審判所長に審査請求」をするか、です。

再調査の請求は税務署に対して行うのに対し、国税不服審判所は別の機関に審査を求めることになります。

国税不服審判所とは?

国税不服審判所とは、国税庁の特別の機関ですが、「国税庁の手先」機関ではありません。

審査官には弁護士や公認会計士、税理士も入っており、税務署と納税者の両方の話を聞いて公正な立場でお裁きを下します。この国税不服審判所のお裁きを「採決」といいます。

ちなみに、税務職員が従うとされている「法令解釈通達」にも拘束されません。

 

国税不服審判所の採決にも納得がいかない場合

国税不服審判所の採決にも納得がいかない場合は、裁判になります。
有名な馬券訴訟や、最近、最高裁判決のあった相続税の節税対策に関する裁判も、このような経過を経ているのですね。

ちなみに、税務署は国税不服審判所の採決に納得がいかなかったとしても訴訟を起こすことはできません。

 

もっと知りたい方はこちら↓

国税不服審判所の概要

税務手続きについて~近年の国税通則法等の改正も踏まえて~

審判所ってどんなところ?