ポイント値引きと医療費控除

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。
普段のお買い物の際、レジで「○○ポイントカードはお持ちですか?」と声掛けをされること、多いですよね。ポイントを貯めたり、ポイントを使ってお支払いしたり。今日は消費者の立場でのポイント利用についてお話したいと思います。

消費者がポイントを貯めたり支払いに使ったりすることについて、先日、国税庁からタックスアンサーが出されました。

テーマは
ポイントを使ったり貯めたりすることに税金はかかるか?
です。

国税庁タックスアンサー No.1907個人が企業発行ポイントを取得または使用した場合の取扱い

1.お店で貯めたり使えたりするポイントに税金はかかる?

日常の買い物でポイントを貯めたり、貯めたポイントで値引を受けたりするのにも税金はかかるのでしょうか?

ポイントを貯めたり、使ったりすることには税金はかかりません。

通常のお買い物で、値引きを受けただけと考えられています。

一見、当たり前のようにも感じられます。が、日常のささやかな楽しみにも税金がかかることがあります。例えば競馬で当たったとか、こつこつ掛金を支払ってきた養老保険が満期になったとか。ポイントには税金はかからないので安心してください。

2.ポイントを使って医薬品を買うと確定申告の医療費控除に影響がある

(1)ドラッグストアで購入した医薬品も医療費控除の対象

体調が悪いときは、病院で診てもらったり、お医者さんから処方された処方箋に基づいて薬局で薬を処方してもらったりすると思います。
その他、ドラッグストアで購入した医薬品を飲んで様子を見ることもあるでしょう。このような診察代、処方箋に基づいて処方してもらった薬の処方代や薬代、ドラッグストアで買う医薬品代は医療費控除の対象となります。

ただし、サプリメントや医薬部外品は対象外なので注意してくださいね。

(2)ポイント値引と医療費控除

確定申告で医療費控除を受けるときは、医療費控除の明細書を書いて確定申告書と一緒に提出します。

医療費控除の明細書は、医療を受けた人ごと、医療機関ごとに支払金額を集計します。家族みんなで使う頭痛薬だったら、「お父さんの名前 他」のような書き方で大丈夫です。

ポイントを使用して値引を受けた場合、①値引き前の金額を集計するのか、②値引後の金額を集計するのか、ちょっと悩みそうですよね。方法は二つあります。

①ポイント使用により値引された後の金額を集計

集計金額を医療費控除の明細書に書きます。

②ポイント使用前の支払い金額とポイント金額を別々で集計

ポイント使用前の支払金額を医療費控除の対象として医療費控除の明細書に書きます。
同時にポイントで値引を受けた金額は一時所得の欄に書きます。

(3)医療費控除はポイント使用前の支払金額を集計した方が、控除額が大きくなる。

値引きしてもらう前の支払金額を医療費控除の明細書に書けば、医療費控除の額が大きくなります。医療費控除の対象額が多くなるので、オトクな感じですよね。

では、一時所得の欄にポイント値引額を書くということはどういうことなのでしょうか。

一時所得が増えると、税金の対象となる所得が増えます。ただし、一時所得には50万円の控除があります。ポイント使用額が50万円を超えない限り、税金は増えることはありません(他に一時所得となるものがあれば、合算したあとに50万円を超えるかどうか、判定します)。

3.計算の手間が半端ない

図は、実際のドラッグストアのレシートを少し加工しています。

医療費控除の対象となる頭痛薬540円とその他の日用品2点を買いまして、税込1,254円です。ポイントで548円を支払いました。
医療費控除の対象となる頭痛薬の金額はいくらにしたら良いでしょう。

①ポイント使用により値引された後の金額を集計

540円-236円=304円を医療費控除の明細書に記入します。

②ポイント使用前の支払い金額とポイント金額を別々で集計

医療費控除の明細書 540円

一時所得   236円

一時所得がこの236円だけだとすると、236円<50万円で課税される金額はないので、医療費控除の額は①より大きくなります。

①、②どちらの方法にしても、ポイント値引額を品物ごとに振り分けて、頭痛薬についていくら値引されたのか計算しなければならないと考えられます。

この計算を見るととても大変だな、と思いますよね。このようなレシートがたくさんあったら、ドラッグストアで買った医薬品を医療費控除に入れるのやめようかな…と考えるのが実情かと思います。