国税庁の軽減税率Q&Aを見てみよう その5

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

今日はいよいよマックのハッピーセットを取り上げます。
ハッピーセット持ち帰りの消費税率はどういう思考経路で決まるのか、じっくり見てみましょう。

マクドナルドのハッピーセットとは

メイン、サイド、ドリンク、そしておもちゃから構成されています。
メイン、サイド、ドリンクは選べますが、おもちゃは開けてみてのお楽しみ、ということが多いようです。

おもちゃ以外が選べる、というところは少しポイント。

ビックリマンチョコとマックのハッピーセットは扱いが違う

食べ物とおまけの組み合わせなので、一見同じに思えるのですが。

ビックリマンチョコはチョコをサンドしたウエハースと、シールが一つの袋に入っています。お菓子もシールも選ぶ余地はありません。こういったものを「一体資産」といいます。

一方、ハッピーセットは、メイン、サイド、ドリンクそれぞれで選択肢があります。選んで組み合わせることができるので、こういうものは「一括譲渡」といいます。

実は、家の建売も一括譲渡です。かたや数百円、かたや数千万円と壮大な違いがありますが、実は同じ扱いです。

ちなみに家の建売は何が問題かというと、建物部分には消費税がかかるものの、土地は非課税という消費税の取り扱いが違うものを一度に売るという部分です。建売○○○○万円、と一つの価格がついていた場合、建物いくら?土地いくら?と分けなければなりません。

ビックリマンチョコの消費税率は?

先にビックリマンチョコの消費税率を見てみましょう。
ビックリマンチョコは、一体資産。
一体資産の消費税率の判定は、次のようになっています。

①一万円以下
②食品の金額の割合が2/3以上。

であれば、軽減税率の8%となります。

というわけで、お菓子がメインと思われるビックリマンチョコは、軽減税率8%です。

入っていたシールが希少で、1万円以上で転売できるものだったら?

食品の金額よりもシールの金額の方が大きいかも。
食品の金額とおまけの金額をどう割り振るかは、売値の割合や、原価の割合など、販売する側が合理的と考える方法で分けて良いのです。

人によっては、お菓子の何倍も価値のあるシールかもしれませんが、販売する側が考える割合ならば、ビックリマンチョコは軽減税率8%に落ち着くと思います。

マクドナルドのハッピーセットの消費税率は?

結論を先に言います。ハッピーセットの持ち帰り全体が8%となります。
ただし、思考は結構回りくどい。

本来、マクドナルドのハッピーセットは、一括譲渡。一体資産と一括譲渡は違うので、一万円以下とか関係なく、食品部分とおもちゃ部分に分けて消費税を計算します。

どうやって食品部分とおもちゃ部分に価格をわけるの?セットで500円なのに・・・と思いますよね。

合理的に区分します。合理的なのはやはり、単品価格の割合で割ること。ただし、おもちゃが非売品だったら悩ましいですね。

非売品のおもちゃに価格を振り分けるにはどうしたらよいのでしょうか?

国税庁のQ&Aは、500円から単品価格を引いて、残った金額をおもちゃの価格と考える方法もオッケーです、と言っています。500円からメインの単品価格、サイドの単品価格、ドリンクの単品価格を引いたら、むしろマイナス、という場合、おもちゃの価格は0円。

というわけで、ハッピーセット全体が8%となります。

もう一つ考え方があります。
おもちゃがあってもなくてもセット価格が変わらないのであれば、ハッピーセットの中におもちゃの価格はないよね、と考え、セット全てが飲食料品なので軽減税率8%とする、という方法です。

おまけ付きのペットボトルのお茶

期間限定のキャンペーンでペットボトルの口の部分におまけがくっついていることがあります。
ペットボトルのカバーとか、ストラップとか。

このおまけの付いたペットボトルは、ビックリマンチョコと同じ扱いです。
ビックリマンチョコと同じということは、
①価格が1万円以下
②食品(ペットボトルの場合は飲み物)の価格が2/3以上
で、軽減税率8%になります。

食品の価格が2/3以上かどうかを調べるためにペットボトルの飲み物とおまけの金額の比を考えなくてはいけません。

このおまけ、非売品ですよね。だから0円。飲み物の占める割合が100%です。

非売品かどうか、という考え方のほかにもう一つ別の考え方があります。おまけがあってもなくてもペットボトルの価格は同じ。というわけで、おまけ部分の金額は0円だね、と結論します。

以上より、食品の価格が2/3以上となり、全体が軽減税率8%となります。

今日のまとめ

セットの中身を選べるか、選べないかで思考経路が違うのですが、どちらにしても、おまけは非売品として、単品では売らないでおきましょう。
そうすれば、食品のお持ち帰り販売時、お子様向けにおもちゃを付けてあげても、消費税率で悩む必要はありません。

残る問題は、お客さんに実際に対応するのはアルバイトさんだということ。
アルバイトさんによく説明して、お客さんに説明できるようにしておきましょう。
対応マニュアルが必要かも。