こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。
マックの「ハッピーセット」も適用 国税庁が軽減税率のQ&Aを改定
という記事をYahoo!ニュースで見かけました。
このハッピーセットの話は、消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)に今回追記されたものです。
何がどう適用なのかというと、おもちゃ付きのハッピーセットを持ち帰りで頼んだ場合、食べ物でないおもちゃもついているけれども全体に軽減税率8%が適用されるという話。
国税庁のQ&Aというのは国税庁のホームページに載っていて、誰でも見ることができます。法律は文言が難しいうえ、原則的なルールだけを述べているので日常をイメージしづらいですが、Q&Aは「日常生活の中のこれは、こう」と、生活の中で日々やりとりされているレベルまで下りてきて一つ一つ解説しています。
この消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)について、7月の追加・改定分を今日から数回に分けて全部見ていきたいと思います。そのまま書き写しても意味がないので、私見を加えながらかみ砕いていきたいと思います。
※上から順にみていきますので、ハッピーセットの話は次回以降です。
アルコール飲料は嗜好品なので、消費税率10%になります。
では、アルコールが含まれる調味料の扱いは?
【関係する人】小売業者さん、卸売業者さん、飲食店さん
【注意点】小売業者は値付け時、会計時、売上の経理処理。飲食店さんは仕入の経理処理
スーパーで買うアルコール飲料は10%になるらしい、ということは浸透しつつあると思いますが、10%か8%かを決めるのが、酒税法に規定する酒類かどうか。
問題になっているのは、家庭のキッチンに常備されているであろう、みりんや料理酒についてです。調味料なのに、みりんは酒税法に規定する酒類なのです。飲食料品は軽減税率にするはずだったのに、みりんが10%の方に行ってしまうかも!
結論は、調味料のうち、みりんは10%になります。
みりん風調味料(アルコール分が1度未満)と料理酒(塩などを加えて飲めないようにされているもの)は、8%となります。
「みりんを買えるのはお金持ちだからでしょ?消費税も2%余計に負担しなさいよ」というわけではないと思いますが。
このQ&Aは前から載っていたもので今回は改定です。みりんは10%、みりん風調味料は8%と書き方が具体的になりました。
酒屋さん(ガス屋さんも?)が飲食店に販売する炭酸ガスの消費税率は?
【関係する人】酒屋さん、飲食店さん
【注意ポイント】酒類、ソフトドリンク、炭酸ガスのボンベを販売、仕入した場合の経理処理
飲食店の生ビール。瓶じゃないやつ。いわゆる生中。
あれは、お店の厨房で瓶や缶を開けてグラスに入れて提供されているのではなく、ビールサーバの蛇口から注いでいます。
ビールサーバからビールを注ぐために、炭酸ガスのボンベが必要です。
そのボンベを飲食店に販売したら税率はいくつですか?という質問。
結論は8%です。飲食店はお客に10%で販売しますが、酒屋さんがお店に卸すときは8%です。
理由は、炭酸ガスはこの食品添加物の一種で、食品添加物は、軽減税率8%が適用される食品に含まれるからです。
消費者の立場だと全く関係なく、飲食店のバックヤードでのやり取りの話。
キャラクターを印刷した缶箱にお菓子を詰めて販売したら、消費税率は?
【関係する人】小売業者
【注意ポイント】会計時の税率は食品扱いすること。
楽天のサイトで「キャラクター お菓子 缶」と検索するといろいろ出てきますね。
キャラクターの描かれた缶が欲しくて買うこともあるかと思いますが、包装材料に過ぎないという理由で軽減税率の8%が適用されます。
ただし、重箱のように入れ物の方が高価で、再利用させることを目的として食品と一緒に販売しているものは、判断が異なります。
桐の箱に果物を入れて販売したら、消費税率は?
【関係する人】小売業者
【注意ポイント】会計時の税率は食品扱いすること。
ドクターXのエンディング。岸部一徳さんが西田敏行さんに「メロンです。請求書です」と渡すあのメロンです。
桐の箱に商品名が印刷されているなど、その果物を販売するためだけに使用しているのであれば、軽減税率8%となります。
商品名が印刷してあったとしても、桐の箱の再利用が主な目的となると、判断が異なります。
このQ&Aの書き方だと、商品名が印刷していない場合は10%かな。
今日のまとめ
今日は4つ見てみました。最後の二つは「遠足のバナナはおやつですか?いや弁当のデザートだろう?」を思い出すような細かい質問です。このようなレベルの質問にも逐一回答を出さなければならないほど、ややこしく、混乱しているのです。
続きも順次見ていきたいと思います。