こんにちは。税理士の石川です。
個人事業主さんにとっては、確定申告の時期ですね。老後の備えと現在の節税のため、小規模企業共済を検討される方も多いと思います。今回、ちょっとイレギュラーな事例が発生しました。問合せたところ、興味深いことが分かったので、公開したいと思います。
小規模企業共済の加入資格とは
個人事業主又は小規模な企業の役員であることがまず前提。
事業内容に多少の限定はあるものの、製造業、建設業、運輸業、農業、不動産業、商業、サービス業、我々のような士業なども入れます。小規模というだけあって、従業員数の制限はありますが、20人以下又は5人以下(業種による)なので、多くの個人事業主さんや小規模な企業の役員が該当するものと思われます。平成23年からは共同経営者も加入できるようになりました。
ただし、建設業退職金共済に加入している事業者、生命保険外務員等、アパート経営等の事業を兼業している給与所得者など加入資格がない方もいらっしゃいます。
詳細はこちら→https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/eligibility/index.html
今回の事例
建設関係の個人事業主さんで、事業の内容や従業員数は小規模企業共済の加入資格を満たすものの、建設業退職金共済(以下「建退共」)に加入しているため小規模企業共済に加入できない方について、奥さん(青色専従者。共同経営者の要件はOK)のみが小規模企業共済に加入できるかを検討しました。
回答
今回の事例では奥さんも加入できません。建退共に加入しているため事業主本人に加入資格がなく、その場合は共同経営者も加入できないため、奥さんも加入できないという結論になります。
参考までに、事業主本人が小規模企業共済に加入できる要件を満たしていれば(今回の事例ならば、建退共に入っていなければ)、事業主本人は加入せずに、共同事業者のみが加入するということも可能とのことです。
補足
小規模企業共済はなぜおすすめなのか?
独立行政法人 中小企業基盤整備機構が行っている共済制度の一つ。個人事業主、中小企業の役員の方の退職金積立の位置づけです。
現役で掛金を支払っている間は掛金が全額所得控除の対象となり、節税できます。リタイヤして受け取る際には、掛金以上を受け取ることが可能(絶対に掛金以上がもらえるわけではないので、少しだけ注意が必要。短期間での任意解約は受取額が掛金額を下回ります)です。
受け取り方法は一括や分割受け取りが可能で、一括受取の場合は退職所得としての扱い、分割受け取りの場合は公的年金等の雑所得扱いとなるので、税制上優遇されています。
共同経営者とは?
個人事業主が営む事業の経営に携わる方で一定の要件を満たす方。配偶者や親族も可。
加入手続きのときに、
- 個人事業主と締結した共同経営契約書の写し(小規模企業共済のホームページにテンプレートあり)
- 報酬の支払い事実が確認できる書類(青色申告決算書など)
を用意できれば、共同経営者として加入できると思われます。
小規模企業共済のホームページには「一定の要件」としか書かれていませんが、「小規模企業共済 共同経営者 要件」とインターネットで検索すれば、商工会や税理士による解説がたくさん出てくるので、ここでの解説はこの程度に留めます。