【離婚の財産分与】もらう側、あげる側の税金関係

こんにちは。税理士の石川です。市役所の無料相談のような場でたまに出くわす質問ですが、奥が深いです、特にもらう側より上げる側が。

もらう側、あげる側の税金関係

もらう側

通常、税金がかかることはありません。これは、財産分与は、相手から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のためのものであると考えられるからです。

ただし、一般常識的に考えて高額すぎる場合、又は、離婚が贈与税や相続税を免れるために行われた場合には贈与税がかかります。

国税庁タックスアンサーNo.4414 離婚して財産をもらったとき

 

あげる側

財産を手放すわけですから税金がかからないように感じますが、そうではありません。

分与したときの時価が、その財産の取得価額よりも高くなっていた場合、値上がり益に所得税(譲渡所得)がかかります。値上がりしていなければ税金はかかりません。

近頃は不動産が値上がりすることは珍しいですが、気を付けましょう。

国税庁タックスアンサーNo.3114 離婚して土地建物などを渡したとき

裸一貫事件

平成元年8月14日の最高裁判決です。民法の「錯誤」に関する裁判として有名だそうですが、譲渡所得に関係するものとしても興味深いです。

内容は、不貞を働いた夫が「裸一貫、新しい彼女とやり直したい」と、妻に全財産を譲りました。元妻に税金が課せられるかもと心配していたところ、夫に譲渡所得税が課されたので、「自分に税金がかかると知っていたら、譲らなかった」として分与の無効を主張したものです。この裁判では、夫側の主張が認められました。昭和の終わりごろの話なので、バブルで不動産の時価があがっていたことで、譲渡所得が発生したようです。