予定納税の特例猶予を受けた後の確定申告

こんにちは。税理士の石川です。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、納税についても各種の救済策が出されています(現在、終了しているものもあります)。今回は、予定納税について納税の猶予(特例猶予)を受けたあとの確定申告について、私の経験を基にまとめました。

納税の猶予制度には平時のものと災害時の特例によるものがある

税金の支払いには期限があります。資金繰り悪化などの諸事情で国税を一時に納付することができない場合、税務署に申請することにより納税が猶予されます。この申請が認められると、原則1年間、納税が猶予されます。

期限よりも遅れると、納めるまでの期間に応じた「延滞税」が課されます。これも猶予を申請して認められれば、何の手続きもしない場合より軽減されます。「お金がなくて払えない」と税金から目をそらさず、きちんと税務署に相談に行くべきである所以です。

この納税の猶予は平たく言えばレギュラー商品で、平時から用意されている制度です。

さて、今は平時とは言えません。新型コロナウイルス感染症拡大により、災害が起こっているような状況が1年以上続いています。

新型コロナウイルス感染症拡大が深刻化してきた令和2年4月、特例猶予制度が設けられました(令和3年2月1日に終了)。この制度では、収入が概ね2割以上減少している方に対して、「延滞税なし」、「無担保」、「1年間納税の猶予(予定納税の猶予は確定申告期限まで)」とされました。

この特例猶予ができてからおよそ1年。特例猶予を受けた納税者の方に、順次、猶予期限が到来しています。

質問

予定納税の納期限の際、資金繰りが不安だったため、この特例猶予を受けた後、決算を迎えました。最終的には、赤字決算となり、法人税や地方法人税、地方税の所得割は0で均等割のみ、消費税等は納付ですが、予定納税額より年税額の方が少ない計算結果となりました。さて、どんな金額を納付したら良いでしょうか?

  1. 猶予期限を迎えるので、予定納税額を全額いったん納めて、後日、還付。
  2. 予定納税額と確定申告による還付額を通算。つまり、消費税の年税額と地方税の均等割を納める。

答え

答えは2.です。納付は、消費税の年税額と地方税の均等割です。

納付書の書き方

ここで納付書の書き方に注意。消費税等の納付書の右端にある申告区分の欄は「中間」に〇をつけてください。
(税務署の職員の方に確認済み)

地方税の納付書も申告区分を書くところがありますので、中間と確定に納付書を分けて均等割を納めるのが正解かと思われます。

予定納税額をいったん全額納めてから還付というのでは、コロナ禍による景気悪化という厳しい状況においては猶予のありがたみが半減します。通算後の税額の納付で良いという点は重要です。