医療費控除の対象になるかな(差額ベッドと通院費)

医療費控除は、確定申告の中でも、とても身近なものだと思います。

普段は年末調整で税金の精算が完了するサラリーマンさんでも、医療費控除を受けるために確定申告することがあるでしょう。

実は、医療費控除の対象になるか・ならないか、パンフレットや参考書を見ても判断が難しいものもあります。
「対象とならない…でも○○○な場合は、対象となる」というような言い回しをされると、「う~ん、どっち?にしたら良いのだろう」と。

悩みどころはたくさんあるのですが、今回は、差額ベッドと通院費を取り上げてみました。

1.入院時の差額ベッド

「基本的には医療費控除の対象になる」と考えて差し支えないでしょう。

医療費控除の対象にならない場合もあります。国税庁のタックスアンサーNo.1126には、

本人や家族の都合だけで個室に入院したときの差額ベッドの料金は医療費控除の対象になりません。

と書いてあります。

病院によっては全室個室だったり、空きがなかったりで選ぶ余地なしということもあるでしょうし、手術後に否応なく個室に運ばれることもあるでしょう。「本人や家族の都合だけで」ということは少ないと思います。というわけで、「基本的には対象となる」と書きました。

どんな差額ベッドは対象とならないか? 個人的には、医療費控除の対象とならない差額ベッド代とは、ドクターXでよく出てくる「特患」の特別室みたいなところかなあ、と思っています。

とは言うものの、特別室でなくても、希望して個室に入った場合の差額ベッド代は医療費控除の対象となりません。そこは正直に判断してくださいね。

2.通院時の交通費

タクシー代

タクシー代は医療費控除の対象になる場合とならない場合があります。
(通院のための電車代、バス代は医療費控除の対象となります)

対象となる具体例

「突然の陣痛でタクシーを利用」(国税庁質疑応答事例のまま)
「骨折で通院。近所に電車の駅やバス停がないのでタクシーを利用」

陣痛や骨折ではないけれども…という場合はどう判断しましょうか?
医療費控除の対象となるタクシー代について、法律の言葉を少しかみ砕いて確認すると、

病院、診療所、老人保健施設又は助産所へ送ってもらうためのサービスのうち、病状に応じて支払う一般的な金額ならば医療費控除の対象

と書いてあります。

70代の母は、持病で定期的に病院に通っています。病院まで約2キロ。バスはありません。

体調が良くて(良くないから病院に行くのですけどね)、陽気の良い日であれば自転車で行ける距離ですが、転倒したら大けがにつながるかもしれず、自転車もそろそろやめてほしいです。このような場合は、タクシーで通院して、タクシー代を医療費控除に入れても良いのではないでしょうかね(完全に私見です。最終的な判断はご自身で)。

年齢が何歳以上だったら、とか、何キロ以上ならタクシー使ってよい、などの基準はありません。「病状に応じて支払う一般的な金額」かどうかを各自が判断することになります。

ガソリン代、駐車場代

医療費控除の対象になりません。

医療費の対象となる通院費は電車やバス、タクシーなどサービスの対価として支払うもの、とされています。わかりやすくサービスと書きましたが、難しく言うと人的役務の提供。誰かから何かをしてもらった対価なので、ガソリン代や駐車場代は当てはまりません。

実際に質問された具体例
「人工透析のために自家用車で定期的に通院。時間貸しの駐車場代がかかる。電車、バスなど他に通院するための手段はない」…ガソリン代、駐車場代は医療費控除の対象となりません。

人工透析という生命維持に絶対に欠かせない医療のための通院であるにもかかわらず、自家用車利用は医療費控除の対象となりません、というのも答えづらいものです。

軽くまとめ

今回は、治療の周辺でもある差額ベッドや通院費を取り上げましたが、治療や施術そのものについても悩みどころはたくさんあります。
例えば、自費で行う歯の治療や視力矯正のためレーシック手術などは?
答え:全部とは言えませんが、医療費控除の対象となることが多いです。

パンフレット見たり、ググってみたり、専門家に聞いてみたりしてください。

こちらを参考にしました⇒医療費控除と住宅借入金等特別控除の手引 一般財団法人大蔵財務協会