こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。
10月1日に、消費税増税、軽減税率、そしてキャッシュレス・ポイント還元事業が始まりました。
今日はキャッシュレス・ポイント還元事業について見ていきます。
消費者への還元の方法は4パターンあります。
- ポイント付与…次回以降の買い物時に使えるポイントが付く、○○Payの残高がポイント還元分増える
- 引落相殺…クレジットカードの利用額が預金口座から引き落とされるときに、ポイント還元分が差し引かれる
- 口座充当…銀行口座にポイント分が還元される
- 即時充当…レジでのお会計時にキャッシュレス還元分を差し引く
1~3は、キャッシュレス決済をしたお店は介さず、消費者に直接還元される方法です。
一方で、4.では、買い物をしたときに、そのお店で、即、ポイントを使います。お店の立場としては、売上額はいくらなのか、注意が必要です。
ポイントや残高が消費者に還元される場合(1~3の場合)
こちらは簡単なパターンです。お店は特に意識することはありません。
街の文房具屋さんで綴り紐を購入しました。220円です。PayPayで支払いました。
PayPayでは、ポイント還元は翌月20日ころにPayPayボーナスとして戻ってくるようですね。
PayPayボーナスは、銀行口座やクレジットカードからチャージした残高と同じように買い物に使えますが、割り勘には使えないなど一部利用に制限があるようです。
レシートには、内税220円とPayPayで払ったと記録されているのみで、ポイントについては何も書いてありません。
キャッシュレス・消費者還元5%に加えて、まちかどペイペイ!5%がつくことは、スマホをみて確認できました。
お店は、
借方
売掛金 | 220円 |
貸方
売上 | 200円 |
仮受消費税等 | 20円 |
と仕訳すればオッケーです。
会計時にキャッシュレス還元分を差し引く場合
同じPayPay支払いですが、コンビニエンスストアではレジでお会計をするときに還元分を引いてくれます。
90円の北海道ミルクバニラバーを買い、消費税8%の7円が外税で上乗せされて97円、キャッシュレス還元額-1円で、96円となっています。PayPayで96円支払いました。
消費者が支払ったのは96円。
お店は、値引きしたのでしょうか?
お店の経理処理はどうしたら良いでしょう?
お客さんが払うのは96円だから、96円を本体と消費税に按分して(96÷1.08=88.888…)売上89円、仮受消費税7円にしよう。
借方
売掛金 | 96 |
貸方
売上 | 89円 |
仮受消費税等 | 7円 |
PayPayからの入金時。売掛金96円なのに、97円入ってきたゾ。差額は、雑収入で消費税は不課税にしておこう。
借方
普通預金 | 97円 |
貸方
売掛金 | 96円 |
雑収入 | 1円 |
これは、正しくないです。
正しくは、以下のとおり。
借方
売掛金 | 97円 |
貸方
売上 | 90円 |
仮受消費税等 | 7円 |
PayPayからの入金時
借方
普通預金 | 97円 |
貸方
売掛金 | 97円 |
1円は値引ではありませんので、キャッシュレス還元で差し引く前の売上と仮受消費税等を計上します。
ここを間違ってしまうと、消費税の申告書作成時に誤りが出てしまいます。
消費者はレジで即時で1円引いてもらう一方、コンビニエンスストアには、国の補助金→決済事業者(PayPay)を経由して、穴埋めされます。
ただし、コンビニエンスストアでは、本部が詳細な経理書類を作ってくれるようですので、本日売上としていくら計上すべきかをオーナーが悩むことは、ないのかもしれません。
また、コンビニエンスストア等では、消費税の納付税額の計算に、決済ごとの仮受消費税等の積上計算が経過措置として認められていますので、仮受消費税等をレシート通り計上すれば、消費税の納付税額の計算は同じ結果となると思われます。
まとめ
中小・小規模事業者の方で、加盟店登録手続きをしたけれども、まだ手続きが終わっていなくて「還元」のポスターが来ない、とか、交通系マネーやクレジットカードなどいろいろ扱っているのに、一部の決済手段しか登録していなかった、など始まってみて気づいた問題があるようです。
今からでも手続きできますので、決済事業者に連絡してみてください。