今の旧型レジで、2つの税率に対応する方法

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

今日から3日後に、消費税率が10%と8%の2種類になります。
持ち帰りと店内飲食のあるお飲食店さんは、メニューやオペレーションをどうするか、もう決めましたか?

8月頃から「レジ機が品切れ」というウワサは耳にしていました。
昨日もクライアントでない方から「7月にレジを注文したのに、10月1日に納品が間に合わない。どうしよう!」という相談を受けました。
今ある旧型レジでしのぐ方法を大急ぎで考えたので、コラムでもご紹介します。

同じメニューで持ち帰りは、税込540円、店内飲食は税込550円と値段を区別することにしたよ。これで大丈夫?

残念ながら、大丈夫ではありません。
税率8%のものがいくら売れたのか?、税率10%のものがいくらくれたのか?、を区別しなければいけないのです。

同じ税率8%でも、9月までの8%と、10月以降の8%も、区別しなければいけません。ですので、1年分の合計ではなく、日ごとか月ごとの合計額が必要です。

なぜ税率ごとの合計額が必要なの?

持ち帰り商品で540円(税込)のものが10個、店内飲食550円(税込)のものが10個売れたら、税込の売上合計額は、10,900円。

一日の営業が終わって、レジを締めたら、今日の売上の合計額がわかりますよね。
レジで印刷した日計表には10,900円、レジの中にも10,900円あれば、今日の営業も無事終了。

ちょっと待って。10,900円に含まれる消費税、すぐわかりますか?

この事例は、非常に単純化しているので、ちょっと考えると「本体価格が500円だから…」、とわかるので、消費税は900円と出せるかもしれません。が、実際のお店のメニューはもっと種類がたくさんあって複雑。常連さんに値引してあげちゃうこともあるでしょう。

一番、重要なのが、消費税の申告書は、8%の税率の税込売上金額、10%の税込の売上金額それぞれを基にして金額を書き込むということです。税込金額の合計を100/110とかで割返して、1,000円未満切り捨てとかして計算するんですよ、ややこしいんですが。

8%と10%が混ざり合った一日の売上合計額だけの資料では、消費税の申告書が作れません。

今のレジでどう分ける?部門ごとの日計が出せれば何とか…

シンプルな機能のレジでも部門を使えば、何とかしのげそうです。

①メニューは税込(要するに内税)で作る。
②レジを打つ時も税込(内税)で打つ。8%の税率となる持ち帰りは、部門1、10%の税率となる店内飲食は部門2としましょう。
③持ち帰りと店内飲食、両方があるお客さんに対しては、持ち帰りと店内飲食を別々で精算した方がお客さんにもわかりやすいでしょう。

レジを締めて、日計を印刷したときに部門ごとの合計は出ていますか?出ていれば、とりあえず大丈夫。
部門1の合計が軽減税率8%の税込金額、部門2の合計が標準税率10%の税込金額です。帳簿に書いたり、会計ソフトに入力したりするときはそれぞれの金額を拾いましょう。

日計の下の方の本日合計は、現金の実査には使えますが、消費税額は無視することになります。

領収書をくださいと言われたら?

10月以降、領収書には、次の二つがしっかりわかるように書かなければいけません。

  • 軽減税率8%の対象の品物である旨
  • 税率ごとの税込合計額

旧型のレジで領収書を印字できたとしても、「軽減税率対象ですよ」ということは印刷されないので、面倒ですが手書きしましょう。

そのときも、領収書も持ち帰りと店内飲食別々で書いた方が楽だと思います。

  • 持ち帰り分の領収書には、「軽減税率8%」と書くこと。
  • 金額は税込である旨を書くこと。
  • 店内飲食の領収書は税込であることがわかれば、税率は書かなくてもオッケー

です。

まとめ

ひょっとして、レジを買い替えなくても、部門が打ち分けられれば、当面行けちゃうんじゃないか?と思ってしまいましたが。

令和5年にまた制度が変わります。今まで消費税の申告書は、税込の売上金額を基に割返して消費税を計算していました。令和5年からは、預り消費税を積み上げて計算できるようになります。端数処理の都合で、積み上げの方が税額が少なくなると思われます。その時期をめどにレジを入れ替えても良いかもしれません。