毎月の月次巡回監査


お客様が日々おこなうこと

例えば、お客様が飲食店を経営されているなら、調理や接客、商品販売をされているなら、商品仕入や販売が本来の業務となります。

しかし、本来の業務を滞りなく回すためには、次のような事務処理もしなければなりません。

  • 取引先から送られてきた請求書を整理する。
  • スタッフの給与を計算する。
  • 何日にいくら支払うのか、支払予定を立てる。
  • 得意先に請求書を送り、入金のチェックをする。
  • 小口現金(※)や受取手形帳などの管理。

小口現金…事務用品を買ったり、電車に乗ったり、取引先を接待したりするために手元に持っている現金。個人的な出費とは区別しなければなりません。

これらの事務処理をやらないとどうなるのか?

  • 仕入先にお金を払うのを忘れて迷惑を掛ける。
  • 掛売りの代金をもらったのかがわからなくなってトラブルになる。
  • 経費の領収書を失くしても気づかない。

そのため、日頃からの事務処理を心がけましょう!


お客様と税理士のどちらかが行うこと

会計ソフトの入力。

基本的には、お客様ご自身のパソコンを使って、お客様が入力するのが良いです。
パソコンを開くことで、いつでも、何にいくら使ったかを確認できるからです。
ただし、お客様がご自身で会計ソフトを入力する時間や知識がない場合、協力してくれる家族がいない場合などご事情を考慮して税理士が入力する場合もあります(※別途お見積)。

税理士が入力する場合は、基本的に、月に一度、巡回監査の際に入力します。


税理士が月に一度、巡回監査の日に行うこと

前月の月次決算をします。

具体的には、前月の請求書や預金通帳、小口現金の出納帳、手形帳、領収書やレシートなどと、会計ソフトの入力事項を照らし合わせます。

会計ソフトに全部正しく入力できているか、入力の仕方は法律にきちんと従っているかをチェックします。

チェックが終わると試算表ができます。

試算表から、

  • 会社がいくらお金を持っているかな?
  • どんな資産を持っているかな?
  • 負債はいくらあるかな?
  • 現時点での経営成績はどうかな?

ということがわかります。

試算表をもとに、経営者の方と、

  • 支払いのための資金は足りているかな?足りなくなりそうだったら、銀行から借りることも検討しよう!
  • 入金が遅れがちな取引先がないかな?遅れがちなところは前金をもらおう!
  • 今期、新しい投資をしたいのだけど、お金は足りるかな?
  • 税金はいくらくらいになるかな?

などを一緒に検討します。

これらのチェックや検討をしないとどうなるのか?
  • チェックを受けていないので、売上が二重になっていたり、経費の漏れがあったりしても気づかない。
  • 融資を受けようとしたところ、「試算表を出してください」と銀行に言われた。試算表ができておらず、困ってしまった。
  • 会計ソフトの入力の仕方が法律に違反していることに気づかず、税金計算で不利になったり、最悪、税務調査で否認されてしまう。
  • 一年分を税理士に丸投げしたところ、お金がないのにたくさんの税金を払うように言われ、大変だった。なぜそのような税金になったのか、さっぱりわからない。

など、大変なことになり、しかも大変なことになっていることに何年も気づかない、ということもあります。

ポイント:最初のうちは…

契約したばかりの時、特に創業間もない場合には、お客様自身、何をすべきか、よくわからないこともあると思います。

または、「請求書や領収書が何ヶ月分も貯まりっぱなしで何から手を付けて良いのかわからない」ということもあるかと思います。。

このような状況を早く脱して、前月分の正しい試算表ができるようになるまで、契約当初には月に2回から3回程度お会いします。

決算が近づいたら


お客様が行うこと

  • 決算の最終日に棚卸
  • 決算月の未収入金、買掛金などを整理します。

ほとんど通常の事務処理と変わりありません。


税理士と一緒に行うこと

業績が良かったら、ご褒美のボーナスを検討しましょう。

納税予測を立てて、税金を払う準備をします。

申告月

通常は決算月の2か月後です。


お客様が行うこと

税理士から渡された納付書を使って金融機関で税金を納めます。


税理士行うこと

「決算修正」、「決算整理」という日ごろと違う仕訳の入力をします。
そして、決算書を完成させ、勘定科目内訳書や申告書を作ります。

お客様に決算の内容と税金の説明をします。

その際に、処理の方法が二つある場合には、それぞれのメリットデメリットをご説明して、お客様に選んでもらうということもあります。

ご理解ご納得いただいたら、申告の委任を受けて、申告書に電子署名を付け、電子申告で税務署に送信します。

決算と別に特別に行うこと

1.源泉所得税の納付(納期の特例を受けている場合)

7月10日までに、源泉所得税の納付をします。
1~6月分の給料から預かった源泉所得税を集計して、金融機関の窓口で納付します。
インターネットバンキングなどで支払うこともできます。

集計や納付書の記入は税理士がサポートします。

2.年末調整

お客様が行うこと

10月頃

保険会社から「保険料控除証明書」や「地震保険料証明書」、社会保険庁から国民年金の「控除証明書」がご自宅に届き始めます。
失くさないように気を付けましょう。従業員にも注意喚起すると良いですね。

11月頃

税務署から、年末調整のお知らせの封筒が届きます。

 この中には、年末調整の手引きや複写式の用紙が入っています。
給与計算をパソコンでやっていたり、社会保険労務士に委託していたりすると必要ないものも、結構入っています。
ただし、自己判断で捨ててしまうと、後で困ることもありますから、巡回監査の日に、税理士に「来ましたよ」と見せてください。
「これは必要、これは捨てていいですよ」と仕分けしてもらえます。

11月の巡回監査時に、「保険料控除申告書」、「配偶者控除申告書」、そして翌年分の「扶養控除等申告書」をお渡しします。

 国税庁のホームページからダウンロードすることもできますし、県によっては年末調整のお知らせの封筒に入っていることもあります。
「毎年のことだから知ってるよ」という場合は、ご自身で印刷して進めてもらっても構いません。

従業員の皆さんに、住所、氏名、生年月日と扶養親族の生年月日は必ず書いてもらいましょう。
保険料の部分は、よくわからなかったら、空欄でも大丈夫です。

保険料控除証明書をクリップやホチキス止めしてもらって回収してください。
12月の巡回監査の日までに回収できるように、従業員の皆さんに期限を伝えてくださいね。

12月頃

従業員や役員のみなさんから提出してもらった「保険料控除申告書」、「配偶者控除申告書」、「扶養控除等申告書」を税理士に渡します。
12月に支給するお給料の計算が終わったら、それも税理士に知らせましょう。

1年間のお給料が確定したら、年末調整ができます。
税理士事務所から、還付金(たまに徴収)のお知らせと、源泉徴収票がもらえますので、従業員に渡します。

還付金の渡し方は3種類。

  • 12月のお給料と同時に渡す
  • 12月にお給料と別に渡す
  • 1月に渡す

どのパターンでも構いませんが、12月のお給料と同時に渡そうとすると、税理士に渡してからの日数が少なく、ちょっと慌ただしいです。
会社の事務処理に合わせて無理のないよう決めましょう。

1月

税務署に源泉所得税を納付します。


税理士行うこと

12月~1月

お客様から受け取った「保険料控除申告書」、「配偶者控除申告書」、「扶養控除等申告書」と1年分のお給料のデータを基に年末調整をします。
従業員一人ずつの保険料控除証明書の金額や、家族の年齢や氏名をソフトに入力することで、年末調整が完成します。

年末調整が終わったら、源泉徴収票や還付金のお知らせを印刷して、お客様にお渡しします。

1月

税務署へ法定調書や法定調書合計表、市町村に給与支払報告書を送ります。

この作業はあまり知られていないかもしれません。
年末調整は、源泉徴収票と還付金が決まったら終わりではなく、続きがあります。

法定調書というのは、源泉徴収票や支払調書をひっくるめた名前です。
役員報酬の源泉徴収票や1年のうちに支払った地代や家賃の支払調書を1月末までに税務署に提出します。

 同時期に、市町村に個人個人にいくら給与を払ったか、という報告書を提出します。
これを給与支払報告書といいます。
従業員の方々の市県民税の通知が6月頃に会社に来るのは、この給与支払報告書を提出しているからです。