小学6年生向けの租税教室の講師をしてきました

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

税理士は、顧問契約を結んだクライアントのための仕事をして報酬をいただいています。が、確定申告時期には税務署や市役所に出張し、申告で戸惑っている方々のお手伝いをするなど、社会に役立つお仕事もしています。
そのような仕事の一環として、租税教室があります。
租税教室では、税理士(法人会など各種団体の方々が担当してくださっているところもあるようです)が小学校や中学校に行って出張授業を行います。税金が社会でどのように役立っているか、税金がなかったらどうなるか、考えてもらうものです。

実際に行ってきた(準備)

この租税教室、実は、授業の素人でもできるよう、小道具が結構充実していて、普段は税理士会の支部事務局に保管されています。
17分のアニメDVD、黒板やホワイトボードに貼り付けられるイラストマグネット、1億円のレプリカ等々です。
税務署で租税教室の講師研修会があり、税務署の職員の方がこれら小道具を使ったモデル授業を披露してくださいます。そこで概要をつかみました。
ベテランの税理士(昔の上司)の租税教室も見学させてもらいました。

そして、原稿を作って練習。
どんな税金があるのか、知っている税金を聞く
→集まった税金はいくら?使い道は誰が決めているの?と聞く
→身近なところに税金は使われているけれども、何に使われているか聞く
→では、税金がなかったら、生活はどうなっちゃう?という体験をDVDで。
という流れ。ほぼモデル授業どおりですが、私なりに全体のストーリーを作りました。

経営者や資産家が対象のセミナーのように、一人で時間内にしゃべり倒せばよい、というものではなく、コミュニケーションを取りながら進めないと子どもたちが飽きてしまうかもしれません。手を挙げてもらったり、答えてもらったりの時間配分がわかりづらく、不安。

出張予定の小学校の先生と打ち合わせをしたところ、教室でなく体育館に6年生全員が集まって、床に座って授業を受けるとのこと。寒いかな?広すぎて、手を挙げてもらっても指名できないかも、など不安。
さらに不安なのは、小学校というのは基本、分刻みで1日が動いていますから、延長はタブー。と言って時間が余ったら身の置き所がなくなります。45分の授業の中でアニメが17分。何時何分にはアニメを流し始めないと終わらない!逆に万が一時間が余ったときのつなぎはどうする?など不安いっぱいでした。

実際に行ってきた(当日)

「知っている税金を教えて」、「この施設は税金を使っていると思う?」、「1年間の国の税収はいくらかな?」。
コミュニケーションを取りながら、時間厳守で進行するというのはやはり思い通りにはならず。原稿よりちょっと押し気味に。

アニメは税金のない世界が描かれています。教育アニメなのですが、声優として野沢雅子さんが出演されており、本格的な作り。「ドラゴンボール、ドラゴンボール」というひそひそ声も。
税金のない世界の警察官が調子よさげに「いらっしゃーい!道案内は○○円、落し物預りは1日○○円、犯人逮捕は2万円からだよ~」と料金を説明してくれます。「お金ないの」と主人公が言うと「ちっ、冷やかしかよ、帰った帰った」と冷たくあしらわれます。

アニメが終わった後「犯人逮捕はいくらだったかな~?」と聞くと、「2万えーん」と声を揃えて答えてくれました。小学生、やはりさすがの記憶力と集中力。
小学6年生というのは、小学生といえども心は結構大人。斜に構えてるんじゃないかな?という不安もあったのですが、みんな積極的に参加してくれて、うれしかったです。

質問二つは宿題に

質問その1「税金が余ったらどうするのですか」

「税金の使い道は国会で決めるんだよ」という説明を途中でしたので、それを受けての質問だと思います。「税金は使い切るのが原則ってことで良いよねえ?」と思いつつ、「IT導入補助金は平成29年の補正予算。補正予算とはどういう意味なんだろう?」と頭をよぎりました。そこで、これは回答を保留。「調べてから先生を通じて答えますね」ということにしました。

質問その2「脱税した場合とかの罰はどんなのがあるのですか」

2つ目の質問は格好良く応えようと思ったのですが…。うーん、無申告加算税だの延滞税だの、そして罰金、懲役までありますから、すぐには答えられません。こちらも保留し、先生を通じて答えることに。
こちらの質問は、どうやら、最近テレビで話題になっていた中国の女優さんの脱税スキャンダルからその質問が出てきたようです。鋭い!
宿題の答えは、改めてコラムに書きます。

代表の子がお礼を発表してくれた

「私が小学生の頃は消費税という税金はなかったです。けれども、来年はいよいよ消費税率10%になりますね。税金はどんどん変わっていくから、新しい情報を頭に入れて社会を支えて行ってくださいね」と締めて終わり、のつもりだったのですが。
先生が、「代表して○○君、お礼のあいさつをして下さい」と指名。
前に出てきて、「税金の種類がたくさんあることがわかりました。税金がなくなると世の中が大変なことになるとわかりました。(中略)ありがとうございました」とお礼と感想を発表してくれました。
初めてのつたない授業でも、租税教室の意義を理解してくれたようです。小学生の理解力に感動しました。
高階北小学校6年生のみんな、ありがとうねー。