こんにちは。川越の消費税に強い税理士。石川です。
9月27日(平成30年の場合)は、個人で事業を営まれている方の、消費税の予定納税の振替日です。
「はて?なんのこと??」
と思った方は要注意です!
特に
- 腕一本で事業を始めて数年経った
- 今までは、毎年3月の確定申告のあとに消費税を納めていた。
- お客さんの信頼も得て、売上は順調に年々が伸びている
このような方は注意が必要です。
このような方の場合、
「ある年、消費税の予定納税のお知らせが来て初めて予定納税を知った」
ということが起こってしまいます。
そして、想定外の大きな出費になり、事業への影響も大きく出てきます。
そのため、今回は「腕一本で独立し、成果が出てきた個人事業主の方」ほど予め把握しておかなければいけない「消費税の予定納税」についてご説明します。
消費税の予定納税とは?
消費税の予定納税とは、
「前年の消費税の納税額がある程度以上の人は、年の途中で仮払しておきましょうね。」
という制度になります。
「自分は予定納税などしなくても、1年分を一度に納めるから大丈夫」
というわけにはいきません。
しっかりと期限があって、遅れると延滞税も請求されます。
また、消費税の予定納税に関しては、前年の消費税額に応じて発生します。
そのため、一度もない方もいれば、年1回、年3回、年11回と納めている方もいます。
(年11回という個人の方はあまりいませんが…)
どうなると予定納税をしなければならないのか?
前年の消費税の申告書の「⑨差引税額」という欄を見てみて下さい。
この欄が
- 48万円以上:年の真ん中で1度予定納税
- 400万円以上:年3回の四半期ごとに予定納税
- 4,800万円を以上:年に11回予定納税
をする必要があります。
前年の消費税の申告書は3月に書いて提出していますよね?
税金を納めてほっと一安心せず、⑨差引税額の欄がいくらかを確認して、予定納税が必要かどうか確認しましょう。
⑨差引税額の欄がいくらかを覚えていない方
普段、申告書を一行一行見ていませんよね?
そのため、「⑨差引税額」と言われても、金額を覚えていない方がほとんどかと思います。
そこで、「⑨差引税額の欄が48万円超える場合の売上」をシュミレーションしましたので、参考にしてください。
- 飲食業:1,900万円~
- サービス業:1,500万円~
- 小売業:3,800万円~
もし、売上がシュミレーションの金額をを超える場合や近い場合には、まず税理士に相談してください。
※簡易課税を選択している場合に限定のシミュレーションとなります。
※あくまでシュミレーションであり、実態は事業主さまによって異なります。そのため、ご心配な方は一度税理士にご確認下さい。
予定納税ではいくら支払うの?
予定納税で支払う金額は以下となります。
- 年の真ん中で一度予定納税をする場合:前年の消費税の納税額の約半分
- 年3回の予定納税の場合:前年の消費税の納税額の約4分の1
- 年11回の予定納税の場合:前年の消費税の納税額の約12分の1
となります。
前年も予定納税をしている場合は、予定納税額の合計とと3月の確定申告の納付額を足した上で、上記の通り分割して下さい。
予定納税できなかったらどうなる?
万が一、予定納税が出来なかった場合には、納めた日に応じて、延滞税という罰金が科せられてしまいます。
その時の金額は、8月31日の翌日(9月1日)から2ヶ月を経過する日までに納めれば、年2.6%、それを過ぎると年8.9%もの利率で延滞税が計算されます。
そのため、振替納税を行わず、金融期間の窓口で収めている場合、期日までに納める事が出来なかった場合には、すぐに納めにいきましょう!
また、振替納税にしているのにも関わらず、うっかり残不足で振替できなかったという場合には、「振替納税の再振替」というのはありません。
そのため、すぐに税務署に連絡し、納付書を貰う、もしくは郵送して貰い納税をするようにしましょう!
(振替納税に場合、手元に納付書がありません。)
冒頭でもあげさせて頂いたのですが、振替納税の日は9月27日となります。
9/27の振替日に振替できなかった場合には、本来の期日である8月31日から延滞税の計算がされます。
※決まった日に所得税や消費税が自動で口座振替される制度(振替納税と言います)があるのは、個人事業主だけです。
自動振替なので、納期限に慌てて金融機関に行く必要がないうえ、振替日は、本来の納期限よりも約1ヶ月ほど後になっていますので、お金を準備する時間的な余裕ができます。
法人の場合は、ダイレクト納付などの手続きをした後に、自分で振替日を指定します。法人に自動振替制度はありません。
もし病気などで納税金額が足りない場合には?
「急な病気で入院し、ほとんど仕事ができなかった」などの事情があり、前年の半分の納税が出来ないこともあります。
このような場合には
「1~6月分で仮決算をして、実際の半年間の売上や仕入を基に申告書を作って提出し、納付する」
という方法があります。
そのため、もし上記の様な特殊な事情がある場合には、税理士に相談してみてください。
※仮決算を行う場合、納付額がなければ0円となります。ただし、仮決算では還付はありません。
納税の準備を必ずしましょう。
「2月頃に満期になるように1年間積み立てて、消費税を納めよう」
と金融機関の定期積金を使って消費税貯金をしている方は結構いらっしゃるのではないでしょうか?
しかし、これだけでは資金不足になってしまいます。
消費税の予定納税に関しては、予め想定しておかないと、大きな出費となり、事業に多大な影響を及ぼします。
そのため、予め想定し、
- 時期をずらして定期積金を2本立てにする。
- いつでも引き出せる普通預金口座で消費税の準備をしておく
などの工夫を心がけてくださいね。