いきなり税務調査に来ない?税理士法33条の2による添付書面とは?

添付書面の前に…、税務調査とは

税金は、みんなに公平に課される、というのが大原則です。

でも、

  • 税金の計算に間違いがあったり
  • 法律の解釈が間違っていたり
  • あるいは収入を隠したり

きちんと税金を納めていない人や会社も現実にはあります。それを正すために税務調査があります。

税務調査となると、

  • 税務署員さんが会社や家に来て、2日くらい自分の仕事ができない
  • 日ごろからまじめにやっているのになんだか疑われる

など、楽しいものではありません。

さらに、客商売をしているところに、いかつい顔をした税務署員さんが来たら、お客さんびっくりして帰っちゃいますよ。

できれば、ない方が良いですよね。

ここで添付書面が力を発揮します

添付書面は、税理士が作成して申告書に添えて提出するもので、税務調査に効果がある書類です。

添付書面があると税務調査に先立って、税務署から税理士に

「意見聴取をしたいのですが」

と電話連絡が入ります。

この電話で税務署と税理士で日程を決め、税務署の会議室などでディスカッションをします。

このディスカッションの結果によっては税務調査が省略されます。

意外と添付されていない…

そんなメリットがあるなら良いものなら、みんなつけてくれれば良いのに、と納税者の方は思うでしょうが、意外と添付されていないのです。

今わかっている最新のデータで、平成28年度の法人税申告では、税理士が関わって提出された申告書のうち、8.8%しか添付されていません。

1割行かない…。

これは、

  • 書く手間がかかる
  • 納税者と税理士の信頼関係作れていない

という事がネックなのだと思います。

添付書面とはどんな書面

「添付書面」の正式名称は「税理士法第33条の2第1項に規定する添付書面」と言います。

添付書面が付いている申告書は、例えば法人税でしたら、第1表の右端、上4分の1くらいのところに税理士法33条の2の書面提出有に○が付いています。

添付書面を作れるのは、税理士だけです。

この書面には、税理士が、申告書を作成するときに

  • 「どんな帳簿書類を作りました」
  • 「見せてもらった帳簿書類はこれとこれです」
  • 「売上は依頼者が作った請求書と取引先からの振込金額を照合して確認しました」
  • 「個人的な支出は混ざっていません」

とか書きます。

そのほか、前年と比べて売上が急上昇したり、利益が激減したりしたときには、その理由を書きます。

実際、リーマンショックのときや東日本大震災のときには、たくさんの依頼者の添付書面にその旨を書きました。

また、依頼者から受けた相談についても書きます。

「役員報酬をもっとたくさんほしい!」と相談されたので、

  • 「役員報酬は自由に上げたり下げたりはできませんよ」
  • 「定時株主総会や取締役会で決議してください」とアドバイスしました」

と書きます。

添付書面を書く上で大事な事

税理士がこの添付書面をきちんと書くためには、納税者とコミュニケーションを密にとって信頼関係を築くことが欠かせません。

  • 毎月定期的にお会いする
  • しっかりと帳簿などを見せてもらう
  • 疑問点を解消する

こういった事を常に行っていないと、

  • 決算のときに作業に追われてしまう。
  • 決算書を作ることだけでへとへと
  • 添付書面まで手が回らない

という事態になります。

実際、「決算で手いっぱいで、添付書面まで書けない」と言う税理士は多いです。

また、ちょっとしたことでも税理士にどんどん相談してもらうことが大事です。

そうしないと、添付書面に書くべきことが見つけられず、スカスカになってしまいます。

添付書面がスカスカになるとどうなるか?

添付書面がスカスカになるとどうなるのでしょう?

スカスカの添付書面について、税務署は「添付書面として認めない!」と言っています。

添付書面のメリットを受けられないということです。

スカスカにしないためのウソは?

では、添付書面をスカスカにしないために、あることないこと書いて、ウソの記載があった場合、どうなるのでしょう?

「事実と違う」とわかっていることを添付書面に記載し、それが発覚した場合、その税理士は財務大臣から懲戒処分を受けます。

懲戒の種類は三種類あります。

  • 戒告
  • 2年以内の税理士業務の停止
  • 税理士業務の禁止

です。

業務停止とか禁止とか、税理士の立場からしたら恐ろしいですね。

信用もがた落ちです。

確認した事項と結果をありのままに記載したのであれば、問題は生じない。

と言われていますから、実際に確認できた範囲で書けば良いのだ、とはいうものの…。

依頼者に提出してもらった資料にウソがあるのを見抜けなかったら、虚偽のつもりはなくても虚偽記載になってしまうかもしれませんよね。

まして、一部にグレーな取引を見つけたら…。

多くの税理士が、依頼者との信頼関係が築けていないと感じたときは、懲戒を恐れて書面添付を見送っていると思います。

当事務所での方針

添付書面の最後のページに「5 その他」という欄があります。

当事務所では、「5 その他」の最後に

「決算及び申告書の作成に関する税理士の諸要求に関し、会社は誠実に応じています」

という文言を入れます。ここが虚偽では、困ります。

当事務所は添付書面を標準のサービスと考えております。

そのために、毎月の定期的な訪問に基づいて信頼関係を築き、決算申告を行っていきます。

しかし、添付書面がつけられない、と感じたときは、以降の関与をお断りする方針です。