領収書は切らないこと!

こんにちは。消費税にうるさい税理士の石川です。

 

この領収書をよく見てください。こんなことを思いませんか?

  • 長いので、ファイリングするときに邪魔。
  • 領収証明細にこまごま書いてあって、何を買ったのかバレバレだからイヤ。
  • 点線があるから切って、領収証明細は捨てても良いよね?

 

この領収証、切り離して、領収証明細を捨ててはいけません。
理由は、領収証として必要な情報の一部が、右側の領収証明細にしか書かれていないからです。

どこが必要かというと、小計の下(この領収証明細の場合、「有料買物袋」が外税扱いとして小計の下の金額に含まれていないので、注意が必要です)。
税率ごとに区分した税込金額(または税抜金額)と消費税率、税率ごとの消費税額の部分です。
(インボイス制度開始後の記載要件です。区分記載請求書等保存方式では、「税率ごとに合計した税込金額」があればよく、税率・消費税額は必須ではありません。軽減税率Q&A制度概要編 問12)

インボイス制度では

インボイス制度開始後にこの領収証を切り離して、領収証明細を捨ててしまい、左側の領収証部分だけを保存しても、インボイスを保存していることになりません。したがって、仕入税額控除ができません。

間違って切り離して税率ごとの内訳のわかる部分を捨ててしまったら、原則として再発行をしてもらう必要があります。

 

現在は、切り離しても良い?

この領収証は軽減税率対象と標準税率対象が混ざっているので、切り離してしまったらその内訳がわからなくなります。したがって切り離すのはNG。

しかしながら、インボイス制度開始前の現時点では、受け取った領収証に「税率ごとに区分した税込金額」が書かれていない場合、領収証をもらった人が追記しておけば良いとされています(軽減税率Q&A制度概要編問14)。ということは切り離して、左側の領収証部分の余白に「税率ごとに区分した税込金額」を書いておけば良いでしょうか?

これは大いに疑問です。切った跡のある領収証は、信頼性が大きく低下しますよね?

 

結論

インボイス制度開始前・後にかかわらず、

  •  領収証をもらったときに、「税率ごとに区分した税込金額(または税抜金額)と消費税率、税率ごとの消費税額」が書かれていることをチェックする。
  •  領収証は故意に切り離さない(切ったらすぐに無効になるわけではないので、間違えて切り離したり、破れたりしたときはテープで張り付けておきましょう)。

ということを習慣づけてください。