【地方税の電子納税】10月1日以降、金融機関に出向かなくても税金を納められる

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

金融機関の窓口に出向かなくても、税金を納められる方法があります。

10月1日以降、新たなシステムが稼働して、さらに便利になります。事業を立ち上げたばかりの経営者の方で、通帳を任せられる人がいないとか、本業に集中するあまり税金を納めるのを忘れそうになったことのある方にぴったりです。

法人が納める税金にはどんなものがある?

税務署へ納めるもの

会社を経営していると、事業年度ごとに決算を行いますね。
決算が来たら、売掛や買掛、棚卸などを整理して決算書を作ります。この決算書をもとにして税金を計算します。
国に対しては法人税、地方法人税、消費税(厳密には消費税及び地方消費税)という3つの税金を納めます。申告・納付を管理しているのは税務署です。

地方公共団体へ納めるもの

決算書をもとにして計算する税金には、国に納めるもののほか、会社の本店所在地や支店が所在する都道府県と市町村に納めるものもあります。
都道府県に対し、法人都道府県民税、事業税、地方法人特別税を納めます。申告先の機関の名前は、都税事務所とか、県税事務所といいます。都道府県の中にそれぞれ何ヶ所か都道府県税事務所があるので、本店や支店のある住所を管轄している都道府県税事務所に申告・納付します。
例えば埼玉県の川越市やふじみ野市でしたら、川越県税事務所です。

市町村には、法人市町村民税を納めます。これは、市町村の役所の中の課税課などと呼ばれる部署が窓口です。

東京23区のみ、法人都民税と法人市町村税をまとめて管轄の都税事務所に申告・納付します。

税金を納める先が税務署でも地方公共団体でも、申告の締め切りと納税の締め切りは同じ日で、原則は決算日から2ヶ月以内です。

会社の決算時以外にも納める税金があります

給料から天引きするものがあります。源泉所得税と個人住民税です。
源泉所得税は国の税金なので会社の本店のある税務署へ、個人住民税は地方公共団体の税金なのでそれぞれの従業員の住所の市区町村役所に納めます。

今まではどうやって納めていた?

税理士から渡された「納付書」というものを持って、金融機関の窓口へ行っていただいていると思います。金融機関のほか、国へ納める税金だったら税務署、市区町村ならそれぞれの役所にお金を持って行っても払うことができます。

オフィスにいながらにして納める方法もあります。
国へ納める税金(法人税、地方法人税、消費税等、源泉所得税その他)は電子納税という仕組みがありますので、金融機関に出向かなくても納めることができます。

実は、地方公共団体に納める税金も電子納税の仕組みはすでにあるのですが、対応している地方公共団体が非常に少ないというのがネックです。都道府県で対応しているのが、東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府など。都道府県が対応しているから、その中にある市区町村は対応しているか、というとそんなことは全くありません。東京都内の市区町村は全滅です。埼玉県も。
神奈川県内の川崎市、横浜市、愛知県内の岡崎市、名古屋市、豊田市、豊橋市、大阪府内の大阪市などは対応しています。
都道府県と市町村全部ひっくるめて1,788団体あるそうなのですが、対応できているのはそのうち22団体だけだそうです。

全ての地方公共団体が電子納税可能に

今年の10月1日から、新しい電子納税システムが稼働し、すべての地方公共団体に対して電子納税が可能となります。
上で紹介した、決算時に地方公共団体に申告・納付する法人都道府県民税、法人事業税、地方法人特別税と市町村に申告納付する法人市町村民税、そして給与から天引きして納付する個人住民税を納められるようになります。
今まで、電子納税を利用しても納められるのは国に対する税金のみで、地方公共団体へ納める税金については、結局、金融機関に行かなければならない、といった片手落ちの状態が解消されます。

便利な方法を使って、本業に集中

取引先への支払いや従業員への給与支払いをインターネットバンキングで振り込んでいる方も多いと思います。税金のみ、金融機関の窓口に行って納めなければならず、忙しくて時間が取れない!というお困りもあったかと思います。
10月1日以降、税金の支払いもオフィスからできるようになりますので、例えば、決算・申告について税理士とミーティングした際、その場で税金を納めることもできます。まだ詳細は明らかになっていませんが、おそらく何月何日と日にちを指定して予約することもできると思います。

なお、電子納税の事前手続きが必要となる場合もあります。詳しい手続きはまだ公開されていないようですので、公開されたら改めてお知らせします。