自家消費の金額の決め方

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

年が明けて、個人事業の確定申告時期ですね~。個人事業だと自家消費がつきものです。自家消費って何?
自家消費にまつわる消費税についても書きたいと思います。

自家消費って何?計上しないとどうなる?

飲食店経営者の方がお店の食材を使って自分が食事をしたら、それは、自家消費という名の、実質的には売上として扱わないといけません。
端からは「飲食店経営の役得だよね~」なんて思われたりもするでしょうが、残念ながら役得では済みません。

「メニューから選んで作っているわけでもなく、お客さんに出せない部分を工夫して食べているだけだから、0円だよ~」と高をくくっていると、税務調査で指摘されます。ここはまずスルーしてくれませんね。

所得税法に計算方法が書いてありますが、この方法を消費税の計算にも使うと、消費税で少しばかり不利になります。

所得税では、自家消費、つまり店主の食事代をどうやって計算する?

所得税の法律には、仕入価格と、販売価格の70%のどちらか高い方としましょう、と書いてあります。

飲食店の食事の仕入価格つまり材料代は、大体、売値の30~35%、高くても40%くらいですよね。それより多かったら、多分、飲食店として商売が成り立ちません。食事を作るにはガスや電気も使うのですが、常にお湯をぐらぐらと沸騰させて、ガス代が嵩むうどん屋さんでも水道光熱費は8%行かないくらいです。つまり、光熱水費を含めたって50%は行かないです。
とすると、売値の70%を採用すれば良いわけです。

メニューにも安いものから高いものまであるから、どのメニューの70%にする?というのは気になるかもしれませんが、過去の税務調査での調査官とのやり取りから考えるに、一番安い辺りの食事の70%として大丈夫です。

小ライスが一番安いから、小ライスの70%とかはダメだと思うけど。

消費税では、店主の食事代をどうやって計算する?

消費税の法律(厳密には法律ではなく、基本通達というものに書いてある)では、仕入価格と販売価格の50%のどちらか高い方としましょう、と書いてあります。
とすると、消費税では、自家消費は売値の半分を計上すれば良いですね。仕入価格が売値の50%行かないという前提ですが。

より有利な方を使うにはどうする?

青色申告決算書は所得税の書類ですから、所得税の自家消費(販売価格の70%)を書いて、所得税を計算します。
消費税の申告書上で売上金額にあたるところの課税標準額は、所得税の自家消費を引いて、消費税の自家消費(販売価格の50%)を足して計算します。

私がクライアントの申告書を作成するときは、このやり方で申告書を作っています。
でも、これだと所得税の売上金額と消費税の売上金額が違ってしまうので、税務署の職員さんに「あれ?」と思われてしまうかもしれませんよね。
そこで私は、クライアントさんの申告書には税理士法33条の2の添付書面を付けて、その中でどうして違うのか説明をするようにしています。