会社の清算結了登記のスケジューリング

あけましておめでとうございます。税理士の石川です。

会社の解散登記の後、2ヶ月以上間を空けて清算結了の登記をするのですが、その間にやることをまとめました。

1.残余財産の確定

会社に残っている財産の状況に拠りますが…。

(1)信用金庫の出資金

早めに着手しましょう。1万円かそこらだったりするのですが、申し出てすぐに返金してもらえるわけではありません。出資金を譲り受けてもらう人を信金さんに探してもらわなければなりませんので、半年くらいかかる場合があります。

(2)会社名義の自動車や不動産

家族経営でしたら、オーナー社長に名義変更するなどします。役員退職金扱いにするのが良いでしょう(なぜ良いかは改めて)。

(3)清算結了までにかかる税理士報酬、司法書士報酬、登記費用

この時点で支払います。会社がなくなると払えませんからね。

(4)役員退職金

額を決めて源泉所得税と住民税を計算します。現物で支給した車や不動産の時価に対しても源泉所得税と住民税はかかります。税金を差し引いた支給額を各自に振込み、税金も納付します。

(5)水道光熱費・電話などの名義変更、保険などの解約

(6)金融機関の口座解約

自動振替の切り替え、買掛金などの支払い、売掛金の回収や税金の還付など口座振込になっているものが全て整理できたら、金融機関の口座を解約します。お金が残っていた場合は、現金でおろしてくるか、社長の口座に一時的に振り込みましょう。

解散後にも諸々経費がかかると思います。これらの経費は決算や税務申告で経費計上していきますので、これまでどおり、領収書を整理して、帳簿に記録しましょう。

(7)役員の社会保険、住民税徴収方法の切り替え

会社解散時に役員全員が退任し、役員報酬の支給も終了している場合は、社会保険から国民健康保険に切り替えます。社会保険事務所にも解散の旨を届けます。顧問契約をしている社会保険労務士さんがいれば、お願いしましょう。

住民税も普通徴収にします。

全部整理がついたら、残余財産確定です。

ここまでを解散登記の日の翌日から1年以内に済ませましょう。1年経ってしまうとその時点で事業年度として区切り、決算や税務申告をしなければなりません。決算や申告をするとなると、少なくとも地方自治体に均等割という税金を払わなければいけませんし、決算・申告のための税理士報酬も余計に必要となります。

 

2.残余財産確定事業年度の確定申告

(1)残余財産確定の日

1の手続きが終わっていれば、任意に「この日」と決めて大丈夫です。決めた日の翌日から1ヶ月以内に税務申告をしなければなりませんので、税理士さんと相談して決めましょう。

(2)残余財産確定事業年度の決算と税務申告

会社の解散登記の日の翌日から残余財産確定の日までを一事業年度として(ただし、1年を超えていない場合)残余財産確定事業年度の決算と税務申告をします。

これが会社最後の申告となります。営業活動をしていないので利益はおそらくありませんが、原則として、最後まで地方自治体への均等割はかかります。

還付金がある場合の受け取り方ですが、なにしろ口座がありませんから、振込してもらうことはできません。申告書の還付金受取口座に最寄りの郵便局名を書いておきましょう。後日「国庫金送金通知書」が送られてきて、郵便局の窓口で受け取ることができます。

(3)残余財産

1(5)で引き出してきたお金から均等割を支払い、還付金を加えた金額が残余財産です。

 

3.清算結了の登記

いよいよ清算結了の登記をします。司法書士さんにやってもらいますが、税理士さんが窓口になってくれるケースが多いと思います。

清算事務決算報告書、臨時株主総会議事録、証明書(株主名簿みたいなものです)を司法書士さんに作成してもらいます。残余財産の分配の日と臨時株主総会の開催日を司法書士さんと相談の上で決めましょう。登記は司法書士さんにお任せします。

残余財産を株主が持ち株数に応じて分配して会社の清算が終了します。

税務署、都道府県税事務所、市町村役所に清算結了の届出(異動届出書)を提出します(これは税理士さんのお仕事)。届け出を出した後も1年くらいは償却資産税の申告書や市町村民税の給与支払報告書提出のお知らせが届くことがあると思いますので、都度、税理士さんに連絡しましょう。

年の初めから会社の終わり方というのも縁起が良くない感じもしますが、終わりがあるからこその始まり、と思い、敢えてこの時期に整理してみました。