こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。
新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の中から、消費税に関するものの速報をお届けします。
具体例
例えば、以下のようなケースが想定されます。
ケース1
事業を開始してから2期目の飲食店。消費税の納税義務はまだない。
徐々にお客さんもついて、お店も拡張、お酒や食材をたくさん仕入れたものの、新型コロナウイルス感染症による影響で当面、店を休むことになった。売上は前年同月比50%以下。仕入れや店の家賃を考えるとマイナスだ…。
【救済策】課税事業者選択をして消費税の還付を受ける。
ケース2
大型設備投資をする計画があった。
本来、消費税の納税義務はない(設立第2期目などでは納税義務がないケースがあり得ます)のだが、敢えて前期末までに課税事業者選択届出書を提出した。順調にいけば、設備投資をして消費税の還付を受けるはずだった。
新型コロナウイルス感染症の影響で、売上が激減(前年同月比50%以下)し、設備投資の計画も延期された。
【救済策】課税事業者選択不適用届出書を提出して、免税事業者に戻る。
※その他にも様々なケースがあり得ると思います。
内容
課税事業者選択届出書/課税事業者選択不適用届出書の後出し(しかも申告期限まで!)を認める
本来、課税事業者選択届出書や課税事業者選択不適用届出書は、適用を受けようとする課税期間(事業年度とほぼ同じと考えていただいて大丈夫です)が開始する前に提出していなければいけません。今回の特例では、課税期間が開始した後、その課税期間の申告期限まで提出が認められ、還付を受けることができます。
ただし、還付というのは、払った消費税全額が戻るのではなく、預かった消費税との相殺ですから、届出書を出す前に本当に還付になるか確認したうえで提出してください。
2期(3期)継続適用なし
通常では、課税事業者選択届出書を提出すると、連続2期又は3期は免税事業者に戻ることができません。
今回の特例を受けて課税事業者選択をした場合は、翌期に免税事業者に戻ることができます(ただし、その翌期から見て2期前の売上高が1,000万円を超えている場合または、前期の期首から6ヶ月間の売上高と給与総額の両方が1,000万円を超えている場合は免税事業者にはなれません)。
要件
新型コロナウイルス感染症の影響により、一定期間(令和2年2月1日から令和3年1月31日まで期間のうちの1ヶ月以上)の売上が前年同期比概ね50%以上減少していること。
適用は、特例法の施行後に申告期限が来る課税期間についてです。
例えばですが、特例法が施行されるのが5月になった場合、2月末決算(4月申告)の法人で、2月の売上が減少していてもその2月末までの課税期間については対象となりません。
ただし、パンフレットによると、災害等による申告等の期限延長(国税通則法11条)を受ければ、対象となる可能性があるようです。2月決算法人で課税事業者選択/選択不適用の特例を受ける必要がある場合は、申告期限の延長も検討した方がよさそうです。
話の煮詰まり具合
4月7日に閣議決定
簡易課税の取りやめ又は選択
消費税の納税義務者でも、簡易課税を選択している場合は、計算の仕組み上、還付を受けることができません。簡易課税については新型コロナウイルス感染症緊急経済対策には入っていません。
ただし、簡易課税については、もともと特例が設けられていて、災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた事業者は、事後的に簡易課税を選択したり、選択をやめたりすることが可能です(消費税法37条の2)。今回の新型コロナウイルス感染症も、この災害その他やむを得ない理由に当たります。
手続の時期は「災害その他やむを得ない理由がやんだ日から2ヶ月以内」です。やんだ日がいつになるのか今のところはっきりしないので、その辺りは続報を待つことになると思います。