加算税とは何?どう計算されるの? ~チュートリアル徳井さんの事例より

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。今日のテーマは消費税ではなく、加算税です。

チュートリアル徳井さんのニュースで、無申告加算税、重加算税という言葉が出てきました。これらは、○○加算税というくくりで、種類が4つあります。チュートリアル徳井さんの事例を見ながら、まとめてみたいと思います。

チュートリアル徳井さんの追徴課税を分解

10月26日、吉本興業ホールディングス株式会社のホームページで、「チュートリアル徳井の税務申告漏れに関するご報告」という文書が発表されました。この報告文書にあるチュートリアル徳井さんの追徴課税を分解してみます。

法人税の追徴課税3,700万円。うち重加算税180万円、無申告加算税510万円。

もともと納めるべきだった法人税は、3,700万円‐180万円‐510万円=3,010万円です。

加算税は、対象の税額に一定の率を掛けて計算します。本来、3,010万円の法人税だったところに、隠そうとしたり、遅れたりしたペナルティとして何割増しという形で課します。

加算税は4種類

無申告加算税

確定申告の期限と言えば、3月15日を思い浮かべますね。これは、個人の所得税の期限。1月1日~12月31日までの分を整理して翌年3月15日までに申告します。

法人は、原則として決算日から2ヶ月以内に申告します。㈱チューリップは3月末決算ということですので、5月31日が申告期限です。この申告期限までに申告書を税務署に提出しなかった場合、無申告加算税が課されます。

吉本興業の報告文書によれば、無申告で税務署からの指摘を受け、申告書を提出するというのを3期毎に2回、6年間繰り返し、それでもきちんと申告しなかったので、次の3年が経った後に国税局の税務調査が入ったようですね。国税局は税務署の上の組織で、大規模な法人のみを管轄しているので、国税局の調査というだけで驚きです。

無申告加算税の計算方法は以下のとおり。

  • 申告書の提出期限から税務調査の調査通知があるまでの期間に申告した場合…納付すべき税額の5%。
  • 調査通知があった後、調査によって申告書の誤りが見つかり、修正の必要性が明らかになった時点まで(この時点というのは、簡単な言い方に換えています。正確な言い回しではありません。ご了承ください)…10%または15%。
  • 修正の必要性が明らかになった後…15%または20%

遅れても、早く申告すれば、罰則は少なくて済みます。

率に幅があるのは、納付すべき税額のうち、50万円以下の部分は低い方のパーセントで、50万円超の部分は高い方のパーセントというように分かれているからです。

徳井さんの場合、1~3期分、4~6期分も無申告加算税が課されたはずですが、資料がなく、いくらだったのかは、わかりません。税務署からの指摘で申告しており、税務調査ではなかったので、1段階目の率かもしれません。

7~9期分については、本来の法人税3,010万円に対して510万円の無申告加算税が課されましたから、逆算すると約17%。2段階目なのか、3段階目なのか、ちょっとわかりかねます。調査通知があってすぐに申告書を提出して、2段階目の率になったのかもしれません。

過少申告加算税

納める税金が少なすぎた場合、還付額が多すぎた場合にかかります。申告後に、自発的に「間違えた!」と気づく場合もあるでしょうし、税務調査で指摘される場合もあります。

  • 自発的に気づいて、すぐに修正申告書を出した場合…過少申告加算税はかかりません。
  • 税務調査の調査通知があった後、調査によって申告書の誤りが見つかり、修正の必要性が明らかになった時点まで(この時点というのは、簡単な言い方に換えています。正確な言い回しではありません。ご了承ください)…5%または10%
  • 調査によって申告書の誤りが見つかり、修正の必要性が明らかになった後…10%または15%

です。

徳井さんの事例ですと、旅費や衣服代などを経費としたのが、うっかりであれば過少申告加算税であるはずのところ、重加算税(下で説明)となったようです。

不納付加算税

役員や従業員への給料から天引きして税務署に納める源泉所得税を期限までに納めなかった場合にかかります。

率は、納め忘れに気づいてすぐ納めたら5%、税務署から連絡が来て納めたら10%です。

直近1年以内に納め忘れがないなどの条件で免除してもらえます。割と優しい。

徳井さんの場合、吉本興業の報告文書には不納付加算税は出てきませんが、別のネットニュースには、㈱チューリップから受け取った役員報酬について源泉所得税を納めていなかったと書いてありましたので、不納付加算税も課されたはずです。

重加算税

重加算税は、事実を隠蔽・仮装した場合にかかります。
重加算税の率は、35%と40%、2通りあります。

  • 事実を隠蔽・仮装して税金を少なく(または、還付金を多く)申告した場合、重加算税の対象となった税額の35%。
  • 事実を隠蔽・仮装して申告書を提出しなかった場合、重加算税の対象となった税額の40%。

重加算税の対象となった税額には、過少申告加算税、無申告加算税は課されません。過少申告加算税や無申告加算税に代わって、もっと重い重加算税を課すというイメージです。
(不納付加算税に代わって重加算税になるという規定もありますが、ここでは省略します)

事実を隠蔽・仮装というのは難しい言葉ですが、二重帳簿を作るとか帳簿書類に虚偽の記載をするなどの事実があることをいいます。

「社員旅行に、取引先も招待したのだが、全員分の旅費を福利厚生費にしてしまった(社員分は確かに福利厚生費で良いのですが、取引先を招待した分は交際費にしなければなりません)」というのをいちいち見とがめて、「虚偽なので重加算税」とは通常、言われません。
「私的な買い物の領収書が会社の経費の領収書に紛れ込んでしまいました。私が会社からお金を借りたものとして処理を直し、きちんと返します」と事情と対処を説明して納得してもらえれば、重加算税までには至らないこともあります。

もちろん、修正申告は必要で、過少申告加算税が課されます。

徳井さんの場合、旅費、衣服代の一部が否認され、重加算税が課されたようですので、よっぽど悪質だったのか、説明することを放棄したのか…。
吉本興業の報告書によれば、否認された経費約2,000万円に対する重加算税が180万円です。
逆算すると、重加算税180万円の計算の元となった税額が180万円÷35%=514万円。

否認された経費2,000万円に対して、514万円の税額というと税率は25.7%。(514万円÷2,000万円=25.7%)。だいたつじつまは合いますね。

短期間に無申告や、仮装・隠ぺいが繰り返して行われた場合には、加算税をさらに上乗せ

同じ税目について、同じ過ちを5年以内の間で繰り返した場合、加算税がさらに10%上乗せされます。

2017年1月1日以降に申告書の提出期限が来るものについて、この上乗せルールが新たに適用となりました。徳井さんの場合、第8期、第9期が対象となります。無申告を繰り返しているので、適用あり?とも思われましたが、ちょっとわかりません。
4~6期分を税務署の指導により申告しており、税務調査ではなかったので対象外なのかもしれません。

延滞税

延滞税というのもあります。これは利息的なものです。払うべきお金を期日に払わないで運用できたのですから、当然、利息分は余計に払うべきですよね。

年利で9%前後です。ただし、期限から2ヶ月以内であれば、年利3%弱です。年利なので遅れれば遅れるほど高くなります。吉本興業の報告文書には、延滞税については出てきませんが、当然課されたはずです。

9%以上の運用なんてできないので、期日に払うべきですね。

加算税の賦課決定通知書

加算税の率を逆算したり、重加算税になるほどの事実があったのか考えを巡らせたりしてきましたが、実は「賦課決定通知書」にこれらの答えが全て書いてあります。

「賦課決定通知書」というのは、税務調査終了後、所轄税務署長(今回は国税局?)から会社に届きます。この賦課決定通知書は税目毎にあります。加算税の計算の基礎となる税額と加算税の額、重加算税については、隠蔽・仮装とされた事実がいったいどんなものなのか、が詳しく書いてあります。

まとめ

無申告加算税は一度で凝りて直すべきですし、重加算税は「隠した」と認定されたわけですから悪質。お金を貯めたいならば、正しく納税するのが一番ですよ。

おまけ

4~6期は期限後申告したあと、納付しておらず銀行預金を差し押さえられたようですが、ダイレクト納付の手続きをしておけば、銀行に行かなくても納付できます。

参照:チュートリアル徳井義実の税務申告漏れに関するご報告
https://www.yoshimoto.co.jp/corp/news/media/media191026_2.html

加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/kasan.pdf