租税教室の課外授業1 脱税した場合とかの罰はどんなのがあるのですか

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

先日、小学校での租税教室で「脱税した場合とかの罰はどんなのがあるのですか」という質問を受けました。

所得税の確定申告は3月15日まで、というのはよく知られていること。
経営者の方や経理の方でしたら、「申告は遅れてはダメ」、「税金を払うのが遅れてはダメ」、「個人的な飲み食いを経費に入れてはダメ」など、「ダメ」なことがあることは意識していらっしゃると思います。でも「ダメ」なことをした場合、税務署の税務調査で否認されて、その分の税金を払わないといけない、程度しか知らない。
実は刑事罰もあります。小学生に回答した「罰則」について、コラムにも書きたいと思います。

脱税(不正な手段で、税を払わない)

10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金。
※脱税額が1,000万円を超えるときは、罰金は脱税額が上限になります。
懲役と罰金の両方になることもあります。

脱税の例

大阪城公園(大阪市)でたこ焼きなどを売って得た所得を申告せず、1億3200万円を脱税。

《大阪地方裁判所》
懲役1年、執行猶予3年、罰金2600万円の判決。
被告は「申告方法がわからなかった」と言い訳したが、裁判長は「税務署や専門家に相談すべきだった」と述べた。

 

以下は小学生には紹介していませんが、源泉所得税を納めなかった場合の判決です。
飲食店経営者がホステスに支給した報酬から徴収した源泉所得税のうち、2億3,000万円を納付せず、個人的に使い込んだ。

懲役2年、執行猶予4年、罰金6,100万円の判決(どこの裁判所かはちょっとわかりませんでした)

懲役まで行かなくても

うっかり申告を忘れてしまったら、無申告加算税。
うっかり少ない金額を申告してしまったら、過少申告加算税。
二重帳簿を作成したり、利益を隠したりしたら、重加算税。
○○税という名前がついていますが、内容は罰金のようなものです。
悪いことをたくらんで税を少なくしようとしたり、あるいは悪気はなく税金を少なく申告したりすると、このような罰金が課されることがありますよ。

調べてみた感想

罰則は、例えば消費税法だったら第64条から67条、法人税法は159条あたりから、とそれぞれの税法に書いてあるのですが、基本的な量刑は一緒なのですね。
普段の業務だと、申告や届出の期日と、税務調査で否認されないかが重要なポイントで、刑事罰はニュースで見る程度でしたが、勉強になりました。小学生、するどいなあ。

あ、ちなみに脱税の総額3億円が実刑の目安らしいです。たこ焼きの脱税1億3200万円はこのラインで、執行猶予付きってことですかね。