キャッシュレス決済、お店にはいつ入金?手数料とは?

こんにちは。消費税にうるさい税理士 石川です。

今年の10月、消費税の税率アップと一緒にキャッシュレス決済のポイント還元事業が始まります。

お客さんがクレジットカードを使ったとき、お店には、いつ、いくら入るのか?
手数料とはいったい何なのか?

いまさら聞けないクレジットカード、まとめてみました。

※クレジットカード以外の電子マネーや○○payなども入金や手数料についての仕組みはほぼ同じと考えられますので、特に区別せず読み進めていただけます。

お店への入金のタイミング

最近はとても早いものが出ています。どれくらい早いかというと翌日。
その日一日分のクレジットカードの売上が、翌日、銀行口座に振り込まれます。

従来のものですと、2週間分を取りまとめて、そこから2週間後、というものが多かったです。
例えば、1日~15日分がその月の末日辺りに入る、などです。

1ヶ月分がまとめられて翌月20日ころの入金、というものもあります。

手数料とは?

消費者の方がクレジットカードで決済した金額の全額が入金するわけではありません。
クレジットカードの会社によりますが、月額の固定利用料がかかる場合もあります。ただし、固定利用料はないところも増えてきました。

一方、必ずあるのが手数料。決済金額に一定のパーセントを掛けた金額が差し引かれます。
ポイント還元事業では、「この手数料を3.25%以下にしよう!」と言っています。

この手数料について、深堀してみましょう。
クレジットカード決済というのは、すごく易しくいうと、お店が、消費者からお金をもらう権利(金銭債権)をクレジット会社に売る、という取引なのです。

100円をもらう権利を97円でクレジットカード会社に譲り渡します。差額の3円はお店にとっての手数料です。

クレジットカード会社は消費者から100円回収するので、3円儲かる、というわけです。
お店は、100円の商品を販売したのに、97円しかもらえません。でも、踏み倒されることがないので、良しとするのです。

そして、この手数料は、お金をもらう権利のやり取りに伴うものなので、消費税の非課税とされています。

ですから、クレジットカード会社の手数料に別途消費税が上乗せされることはないのです。

銀行口座への入金額をお店の売上にしてはいけないの?

売上の集計は大変!クレジットカードの分は銀行口座への入金額で良いかな?

ダメです。売上と手数料は両方計上しなければいけません。

差し引いた額でも、お店の手取り(儲け)としては一緒のように感じますよね。

しかしながら、消費税で問題が出ます。消費税の申告書上、売上が少なくなってしまうのです。

消費税の過少申告となるので、税務調査があった際にはかなりの確率で指摘され、足りなかった消費税分を追加で納税することになります。

延滞税も課されて、本来の税額より余分に納めることになるので、最初から正しく計算して納めることをおすすめします。

消費税が課税となる手数料も出てきた

最近、手数料の消費税について、「ん?」と思うものに出くわすようになりました。

例えば、Line Pay。
2.45%(税別)と書いてあります。
(据置端末やQRコード決済の場合。ただし、キャンペーンで2021年7月31日まで手数料は無料のようです)

私のクライアントさんが扱っている交通系マネーでも、システム利用料、通信料、振込手数料と様々な名目で手数料を取り、全て消費税が別途かかっています。

クレジットカードや電子マネー決済の精算書を確認すること

「消費税をわかっていない怪しい業者が出てきたか?」と身構えたのですが、どうやら、店舗とクレジットカード会社の間に入る「決済代行事業者」という取りまとめ役が新たに登場したことで、消費税が課される手数料が出てきたようなのです。

(手数料を消費税の対象となる取引としている業者がみんな決済代行事業者という位置づけである、とは言い切れませんので、LinePayの手数料がなぜ消費税の対象なのか、明確にはお答えできません)

 

これは契約次第のようです。最近になって、契約を変更して非課税に変更した事業者もあるそうです。

後から変更したと聞くと、消費税の課税関係をよく調べず、見切り発車した決済代行事業者もいるのだろうかと考えてしまうのですが…。

これからキャッシュレス決済やってみようかな、というお店はどうしたら良いのでしょう?

とにもかくにも、クレジットカードをはじめとするキャッシュレス決済の精算書を良く見て、手数料に消費税が課されているのかどうか確認して、それに沿って処理してください。

国税庁のホームページの質疑応答には、クレジットカード手数料は非課税、とあるのですが、これに固執する必要はないようです。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/06/02.htm

精算書が送られてこない業者さんも今は結構あるのですよねえ。
メールで送られてくるとか、サイトにログインして確認する、など。

面倒がってはいけません必ず精算書、当初の申込書や契約書を良く見て、

売上はいくらか?

手数料はいくらか?

手数料は消費税が掛かるのかかからないのか?

しっかり確認しましょう。